ヒツジを塩でつなぐ・・ちょっと怖い経営手法

古代から西アジアの遊牧民はヒツジを塩でつないでいたそうです。

 

西アジア、今で言うと中東諸国では、8000年以上前から遊牧が行われていました。乾燥地帯が広がるにいアジアでは、家畜であるヒツジやヤギに十分な餌(牧草)を与えるために、牧草がある場所を巡って、遊牧をおこなっていました。

 

ヒツジやヤギは、乳をとるだけでなく、毛皮や肉をとるために飼われています。そこで、不思議なのは、遊牧ですから柵もなく、首に縄をつけているわけでもないのですから、ヒツジやヤギのほうが、さっさと逃げないのかということです。

 

何故、ヒツジやヤギが逃げないかというと、塩なのだそうです。

草食動物は草しか食べないので、生きるために大量の塩を必要とします。大きな草食動物であるカバは1日に500gの塩が必要です。ゾウもキリンも、ヒツジもヤギも、塩分を含んだ岩を舐めたり、土を食べたり、塩水を飲んだりして必死です。塩があれば、延々と舐め続けます。

つまり、野生の草食動物は、塩分を含んだ岩か土のあるところでしか生きられません。

  

遊牧民は塩袋に岩塩を持っていて、ヒツジやヤギに舐めさせます。これによって、柵も縄もなくても、家畜が逃げることなくついてくるのだそうです。

遊牧民は交易の民であり、商人です。周辺に定住している農耕民族との交易では、ヒツジやヤギは重要な商品です。そして、岩塩もまた貴重な交易の商品になります。

 

ちょっと怖い話では、ヨーロッパで最も残酷な刑罰はヤギ刑だったそうです。罪人の身体に塩水を掛けておいて、ヤギに舐めさせるのだそうです。・・結果は恐ろしくて書けません。

 

日本では、「手塩にかけて育てる」「敵に塩を送る」とか、塩はよいイメージがあります。もっとも、日本人は昔から塩分を摂りすぎる傾向がありました。中世より前ならともかく、肉食が中心となった現在では、塩分摂取は大いに控え目にして良さそうです。

いい塩梅で暮らしましょう。