散らかった机の方が創造力を発揮できるって?・・うそです

5S・整理整頓をお話したときに、反対意見がありました。

 

工場の事務所で、机の上に乱雑に書類や資料が積み上がっていたり、ひどいときは机の下にまで書類を積み上げているようなら、工場の生産性は期待できないという話をしました。

製造業では、5S(整理・整頓・清潔・清掃・躾)は収益改善と安全操業を担保する重要なカギです。「一歩一秒一円」とも言われます。また、ものづくりの現場では、適時適切な資料を使って、素早い判断をすることが求められます。

ものを探す時間を削減させることが、生産性の向上に役立ちます。

 

ところが、ある人から、優秀な学者や作家などの書斎を雑誌なんかで観ると、たいていの場合は資料が積み上がっていて、ごちゃごちゃじゃないですか?雑然としたところからこそ、創造的な発想が出るのではないですか?

 

この意見は確かに正しいです。

アインシュタインの机はものすごく雑然としていたそうです。整理整頓された机からは保守的な発想しか生まれず、無秩序な机から独創的な発想が出てくるということです。

私も学者や作家に机を片付けろと言っているわけではありません。工場の事務所や、会計事務所や設計事務所などでは、机を整理整頓しておいたほうがよいのです。

ものを探す時間のムダを超えるだけの独創的な仕事をしていると主張できますか?なかなか難しいと思いますよ。

 

ものを探している時間に(あるいは喫煙室でタバコを吸っている時間とか、洋式トイレで長々座っているときに)素晴らしいアイディアが生まれるのだと言っている方には、もっといい方法を教えます。

もし、あなたが新入社員とか事務の女性とかに、コピーとかファイリングとか、生産性が低いと思っている仕事を頼んでいるなら、それを自分でするのです。机の資料の山からお宝を探す時間と同じように、いいアイディアが生まれるはずです。しかも、新しい資料が自分の力で完成します。一石二鳥です。

もっとも、せっかくできた資料が、また山の中に埋もれるのではダメですが・・。