みんなが見逃し続けた危険~電気コンロの火災

消費者庁のHPを閲覧したら、今日の新着情報として掲載されていました。

 

☞ 1月31日「消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について」

お話したいのは、4~7ページの記事です。

ちょっと、興味深いので紹介します。

 

下のような形状のスイッチを使用している電気コンロがあります。単身者向けアパートの一口コンロなどでよく使われているようです。

このスイッチが原因で発生した火災は、1985年以降、わかっているだけで400件近いようです。2010年以降も毎年火災が発生していて、7年間で18件になっています。

 

このスイッチは松下電機(現在のパナソニック)が1977年から2004年まで製造していたものです。このスイッチの特徴は、つまみが左右両方に回せることです。もちろん、押してから回す(押さないと回らない)安全設計にはなっています。

 

普通のコンロのつまみは、一方方向(例えば反時計廻り)にしか回らないので、最高出力にするにはグルッとつまみを回転させないといけません。

ところが、リコール対象になっているつまみは、反時計廻りに回すと出力が徐々に上がっていき、時計廻りに少し回すといきなり最高出力になる設計でした。便利ですね。

 

都会の単身者向けアパートは狭いので、突き出したスイッチに身体が触れる機会はあるでしょう。そのときに、スイッチを押して僅かに回っただけで最高出力になるわけです。

コンロのうえに鍋やヤカンがあるのなら火災にはなりませんが、プラスチック容器とかときには古新聞だとかを放置している人もいるでしょう。そうすると、大きな火災になります。

 

この電気コンロで興味深いのは、発売された1977年以降多くの火災が発生していたのに、対応が遅れたことです。その要因は、松下電器がつくったスイッチを、多くのコンロメーカー・住宅設備メーカーが採用して自社のコンロに使っていたことによります。

しかも、採用していたのは、松下電器・松下電工・タカラスタンダード・クリナップ・三協立山・富士工業・サンウェーブ工業・東芝ライフスタイル・日立ハウステック・三菱電機・日立アプライアンスと、誰もが知っている大手企業ばかりです。

 

松下・東芝・三菱・日立・・・、どの会社にもしっかりした品質保証部とか製品安全評価室とかがあったはずです。しかし、みんなで見落としてしまったのです。

担当者には、あの松下がつくっていて東芝や三菱も採用しているのだから・・という意識があったのかも知れません。そうであれば、重大な教訓です。

どんな大手企業でも、100%の信用をしてはいけません。自分の商品は、自分で評価して、自分で判断して市場に届けるのがメーカーの責任です。

 

とりあえず、単身アパートにお住まいの方、ちょっと確認してみてください。