商品やサービスの値段は売り手が決める

今から創業する人は消費者の立場で値段を考えがちですが、値段は売り手が決めるものです。

 

「より良い品を、より安く」というのは、一度だけしか買わない消費者にとって望ましいだけです。売り手にとって望ましくないのは当然ですし、リピーターになって何度も買いたい消費者にとってもよくありません。そもそも、「より良い品」が「より安い」というのは自然の法則に反しますから永続きしません。

 

創業する人は一様に事業が長続きすることを願います。事業を永続きさせるには、「より良い品は、より高く」「それなりの品は、それなりの価格」でなければなりません。

創業のタイミングでは消費者意識が強く影響するので、品質やサービスに対して安い値段を付けがちです。値段は事業者の商品やサービスの質に対する自信を消費者へ伝えるメッセージですから、よく考えて決めることです。

 

教科書には値段の決め方として、たいてい次の3つが書いてあります。

1) 原価に利益を載せて決める方法

2) 顧客の希望を聞いて決める方法

3) 同地域の同業者に合わせる方法

 

しかし、値段の決め方にはこれでなければいけないということはありません。売り手が自由な考え方で決めればよいのです。

極論を言えば、売り手である創業者がいくらお金が欲しいのかで決めます。

お金なんか欲しくないのなら安い値段を決めて、たくさん欲しいなら高い値段を決めます。また、売り手が事業を永く続けたいならお金が必要です。

 

例えば、商店街の空き店舗でランチ専門店を開業するとします。近隣の飲食店の平均単価が

650円だから昼定食650円で売り出すとします。

最初は目新しいので、お客さんは来ると思います。店のほうも最初は頑張って高い原価で美味しい定食を出すので人気になります。しかし、原価が高いと利益が薄いので儲けがでませんから、少しづつ原価を下げていきます。

新規開業は店舗コストが既存店より割高になるので、結局は既存店より劣る品質になって、お客は離れていきます。

 

売り手として欲しいお金から計算した値段が1000円だとするなら、価格を1000円にしましょう。但し、ただ単に1000円にしても工夫が無いので、少し頭をひねることが必要です。

 そのあたりは、・・・また次回。