豊洲の強アルカリたまり水の謎は解消されていない

豊洲地下空間の水が強アルカリだったということが、全く報道されなくなりました。

 

共産党都議団がリトマス試験紙を点けたら強アルカリでpHが12~14ということでした。とても気になったのですが、続報がありません。

 

貯まっている水が、当初は雨水だという破天荒な説明もありました。雨水が強アルカリのはずはありません。結局は地下水だと、当たり前の話になったのですが、強アルカリである理由は説明されません。また、pHがどの値なのかも話がありません。

 

そもそも地下水位のコントロールができていないというのは重大な問題です。建設計画でも環境アセスメントでも、地下水位がコントロールされるというのが前提です。

 

地下水位のコントロールは、普通であれば難しいことではありません。もし、地下空間の水が、全体盛り土することをネグったために、土圧の低い地下空間に水が噴き出しているのだとすれば、地下水位のコントロールは今後もできなくなります。

その場合は、数百億円掛けた土壌汚染対策でしたが、評価としては失敗です。

 

更に、コンクリートはアルカリ性だから地下水がアルカリ性でもおかしくない。なんて言っている人もいます。これまた、無茶苦茶です。

地下空間の下にあるコンクリートとは、いったい何で、どのくらいの量なんでしょうか?

地下に水タンクを作っているという話もありますが、これは巨大なものではないでしょう。基本的には、構造を支える杭と梁しかないはずだと思います。

 

ところで、水の中にコンクリート片を入れておけば、水は確かにアルカリ性になります。

コンクリートからアルカリ成分(水酸化カルシウム)が抜けていくからです。

貯まっている水だけでも2000トンと言われていますから、仮にたまり水がpH12以上になるほど、大量にアルカリ成分が抜けているということなら、それもまた大問題です。

 

健全なコンクリートはアルカリ性を保っています。

コンクリートは圧縮には強いのですが、引っ張りには弱いので、補強のために鉄筋が入っています。鉄筋はコンクリートがアルカリ性を保っていれば、不動態化していて錆びません。

この状態なら、しっかりしたコンクリート構造物は80年以上の間、強度が変わりません。

 

しかし、コンクリートのアルカリが抜けて、中性化すると鉄筋の腐食が始まります。

鉄筋は錆びると体積膨張して、建物にひび割れを生じたり破壊に至る被害が出ます。

竣工したそれぞれ建物で、図面と異なる施工がされていたという報道もありました。建設段階で、必要な強度に対してどの程度の余裕があるのか、無いのかも疑問です。

 

コンクリートを中性化させるのは、普通は水分や酸素・二酸化炭素などです。豊洲のように、海に近い場所であれば、塩素の影響も大きくなります。塩害ってものですね。

何故かはわかりませんが、地下水に浸かっているという状況で、豊洲の建物のコンクリートの健全性は維持されて、建物の強度に不安がないのでしょうか?

これも誰かが説明しなければならないでしょう。