豊洲のスティグマ(Stigma)

スティグマとは、「聖痕」- イエスが磔刑となった際についた傷-のことです。

 

他者や社会集団によって個人に押し付けられた負の表象・烙印。ネガティブな意味のレッテルのことをスティグマ(Stigma)と言います。

 

土壌汚染の場合は、スティグマは「土壌汚染がある(あるいは、あった)ことによる、心理的な嫌悪感から生じる減価要因」と定義されています。

 

土壌汚染対策は、そもそも汚染は自然由来や、歴史的大規模汚染(東京では戦時中の空襲の焼夷弾による汚染など)のほうが面積が広いのです。

これらのケースでは汚染除去はできませんから封じ込めという対策になります。

 

 

また、人為活動に由来する土壌汚染の場合でも、費用が掛かり過ぎることや、二次的影響という観点から、封じ込めを選択することが多くなります。

二次的影響というのは、汚染度を浄化する際に、エネルギー(燃料)を使う方が環境影響が大きいとか、汚染土を掘削したり運搬することで汚染を拡散させるといったことです。

 

汚染を封じ込めするということは、そこに「土壌汚染がある」ということは変わりません。現実として健康や生活に影響はなくても、心理的な嫌悪感が残るということです。

 

不動産鑑定協会の資料でも、土壌汚染に関わる不動産鑑定評価ではスティグマ(Stigma)分を減価することが書かれています。ちょっと要約すると・・

スティグマとは、広義には「土壌汚染」に起因する不確定要素(リ スク)から生ずるすべての減価の根拠をいう。

スティグマは、個別の土壌汚染地及び評価時点により、不確定要 素が異なるため、異なる 評価ごとに、求めるべきスティグマを定義する必要性が生ずる。

 

スティグマの傾向は、いろいろな要素によって異なります。

例えば、その土地が工業用途に使用されるならスティグマは無視できるほど小さいでしょうが、住居(食品市場も)に使用されるなら大きくなります。人間心理では、新興地域に住む若い住民と、旧市街地に住む年配の方でも大いに異なります。

 

豊洲で盛り土工法を選択した理由は複数ありますが、スティグマを薄めるのに最も効果的な方法だということもあるでしょう。厚さ10㎝のコンクリートで封じ込めするのと、4.5mの土で封じ込めするのでは、仮に効果が同じであってもスティグマの大きさは全く違います。

 

不動産鑑定をしてスティグマによる減価分を評価したうえで、豊洲の40万㎡の金額を算定してみてはどうでしょうか?

恐らくですが、百億円単位の評価減になります。週刊誌で、地下空洞のほうが盛り土より「コスパがいい」なんて記事が出ていますが、誤りです。「コストが低い」は正しくても、「パフォーマンス」はスティグマによる減価分を算出しなければ判定できません。

 

いずれにしても、誰の責任か分からず、誰も責任を取らない経済損失です。

東京都行政の闇は、4.5mよりずっと深い~い!です。