開業率の国際比較は正しいのか?

政府などは、「開業率を上げる」ことを目標にして、いろいろな施策をとっています。

 

「開業率を上げる」ことが目標になるというのは、日本の開業率が低いと判断しているからです。それでは、日本の開業率は低いのでしょうか?

 

よく言われるのが「日本の開業率は5%で欧米では10%。日本の開業率は欧米の半分。」ということです。

 

 

 

開業率=(一定期間に新規開業した企業数)/(全企業数) のことです。

簡単な式ですが、これをどうやって計るのかは結構難しいです。

 

日本ではいくつかの開業率があります。

総務省の「事業所・企業統計調査」という本格的な調査によるものですが、費用や手間がかかりますので、3~5年おきのデータです。また、調査員が直接調べるので、事業所がない会社(インターネット企業など)は捕捉されません。

 

厚労省の「雇用保険事業年報」による開業率は以下の式です。 

開業率=(雇用保険が新規に適用となった事業所)/(雇用保険適用事業所数)

一目瞭然ですが、従業員を雇用していない事業所は把握されませんし、企業の数でなく事業所の数です。

 

その他、法務省の「会社設立登記」に基づく開業率、国税庁の「統計年報書」による開業率があります。事業実態の無い法人(ペーパーカンパニー)が含まれますが、個人事業主としての開業は含まれません。

 

この開業率の定義をみて、直感的にわかるのは「日本の開業率は欧米の開業率より低く出るのではないか?」という疑問です。

自宅や極論すればネットカフェの机を使って、インターネット接続したPC1台だけで起業する人もいます。雇用をしないフリーランスの起業も増えているでしょう。欧米では起業に際していきなりは税金が掛からないのが普通です。

 

実感として、山口県でも起業や創業の意欲を持っている人はたくさんいて、多くの新しいビジネスが産まれています。

そのなかには、上のような統計にひっかからない事業者もたくさんいます。

欧米での統計に不案内ですが、データの取り方による違いがありそうです。日本人は安定志向で開業マインドが無いというのは、誤った思い込みではないか?と感じています。