工事現場を観光資源に活用しよう!

 豊洲新市場のような問題の再発防止の決め手は「工事見学ツアー」でしょう。

 

 以前のブログで、姫路城では平成の大修理の期間でも訪問する観光客は2~3割しか減らなかったと紹介しました。

 ☞ 非日常性が観光の原点「産業観光のすすめ」

 私も、広島のマツダスタジアム建設中には子どもと一緒に何度か見学に行きました。

 (小さいながらも、現場が見通せる小屋が設けられていて完成模型が展示されていた。)

 

 大規模な公共工事というのは、まさに非日常で一般の人が観る機会は限られています。

 土木工事なんか観ても、何も面白くないだろうと思うのは、プロの考えです。大きなトラックが走り、クレーン車が鉄板を吊り上げ、杭を打ち込んでいるのを観るのは、子どもならずとも大人でもワクワクするものです。

 

 豊洲新市場の「謎の地下空間」も、工事中にこれを特別に隠そうとしていた様子はありません。それでも、工事の安全のためには仮設の塀が建てられますから、周囲を歩いているだけでは内部はよくわかりません。

 

 仮に、豊洲新市場の工事現場が見通せる4~5mの高さの工事見学小屋があって、いつでも誰でも見学できるようにしていたならば、どうだったでしょうか?

 東京都心からのアクセスもいいですから、休日などは親子連れの見学者がたくさん訪れたかもしれません。そうであったら、盛り土がされていないことにも、早い時期に誰かが気づいて指摘していたかも知れません。

 

 インフラ工事の見学が出来るようにするのは、産業観光だけでなく、情報公開とか工事の監視という意味のもなりそうです。

 また、建設産業では担い手不足が深刻になっています。子どもたちに、工事の様子を観てもらうことで、将来の建設技術者が育つことにも期待したいところです。

 

 東京では、いわくつきの新国立競技場建設もはじまります。オリンピック関連の事業は目白押しでしょう。インフラ工事で、一定規模以上の物件では、工事見学小屋をつくることを原則義務付けしてはどうでしょうか?交通事情などで、常設できない場合は「インフラツーリズム」として工事現場見学ツアーで一定人数以上を見学させることを義務付けるとかです。

 

 見学者の安全確保できないといった言い訳が出てくるかも知れませんが、最初から発注仕様のなかに入れて置けば問題ないでしょう。

 その分だけ費用が嵩むという批判もあるでしょうが、働く人の意欲が高まるだけでも、元は取れるように思います。そうそう「ファミリーデー」を設けて、働いている人の家族に来てもらうなんていうのも素敵です。