独裁者に対する抑止力はどこにあるだろう

 経営戦略を指導するは日本には何万人もいますが、軍事防衛戦略を考えている人はどれくらいいるのでしょうか?

 

 9月9日9時に北朝鮮が6度目の核実験をおこないました。核弾頭の爆発実験で成功した模様です。爆発による地震波の観測から、少なくとも広島型原発を超える規模だと見込まれます。

 5日に弾道ミサイル「ノドン」3発を秋田沖の日本のEEZ内に撃ち込んだばかりです。3発の落下位置はほぼ正確に同じだったそうです。公開された発射の映像は衝撃的でした。

 

 素直に考えて、ノドン3発に核弾頭を取り付けて、日本のどこかの都市を狙って発射したならば甚大な被害が発生します。どうも日本のミサイル防衛能力では、3発全てを迎撃することができないような印象です。

 日本列島は大陸に面して弓なりに3000kmの長さがあり、中規模以上の都市は各地にあります。東京・大阪でなくても、ターゲットにされる恐れがある都市はたくさんです。その全てを防御することはできません。

 

 北朝鮮の若い独裁者が、一体何を考えているのかは全くわかりません。

 報道では、身近な人や有用な人財の粛清を繰り返して国内体制が弱体化しているのを、核兵器での威嚇で引き締めている。弱腰外交(と言うか紳士な)のオバマ政権のうちにアメリカの関心を惹きたい。朝鮮半島の南進を本気でおこなおうとしている。とかとか・・いろいろな憶測があります。

 どれが本当で、何が勘違いなのかはわかりませんが、日本にとって大きなリスクであることは確かです。ビジネスにおいても、北朝鮮のミサイルの射程にあるということで、日本企業の評価は既に下がってきています。

 

 日本は米国・韓国と協調・協力して、独裁者の核に対する抑止力を持たなければなりません。東西冷戦の時代には、核には核が抑止力になっていました。現在も安全保障条約があって、日本も韓国も米国の核の傘の下にあるのですが、独裁者に対しては核があるだけでは抑止力になりません。

 米ソ(あるいは米中)の間で核抑止力になるのは、どちらかが核攻撃をしても相手側を完全には破壊できず、反撃されて自国が壊滅するような甚大な被害を受けるという状況が、相互抑止になっていたからです。ところが、独裁者が支配する国では国民の価値がとても低いので、これでは抑止になりません。

 通常兵器を使用する場合はもっと顕著です。例えば空爆などの対策も、軍事拠点を短期間で壊滅させない限り、独裁者やテロ組織には効果がないことは証明されています。

 

 今日は、テレビでコリアレポートの辺真一さんが「もう手遅れだ」と盛んに発言していました。極端な平和主義は軍事戦略の検討そのものを回避してしまいます。(極端な軍事主義でも効果は同じです。)当事国にしっかりした戦略が無い現状は不安です。

 

 独裁者の暴走を抑止する方法としては、経済制裁(経済封鎖)は有効なのですが、現実的には中国ルートは太くてあからさまですが切れません。また、細くて隠れていますが韓国からのルートも強固です。

 完璧なミサイルディフェンスの構築にも時間がかかりそうですし、そもそも可能なのかという疑問もあります。

 核による先制攻撃というオプションが抑止力になり得るのですが、大国も政治的に不安定ですから簡単には出来ませんし、日本では考えることすらタブーです。オバマ大統領に至っては、核の先制不使用と北朝鮮などテロ国家に向けての抑止力放棄を言い出す始末です。

 

 独裁者を孤立させる戦略、国民を失望させる戦略を、日米韓が国際社会と連携して取れないと、危険時計のカウントダウンが止まりません。