お客様に商品をお売りしても、代金を払ってもらえなければ会社はつぶれてしまいます。
営業マンの最も大切な仕事は、売上代金の回収です。しかし、現実にはいろいろな事情で回収できない債権があり、計算書類(貸借対照表)にいつまでも残っているケースがあります。
仮に営業マンが50万円の売上が回収できなかったとすれば、まるまる利益の喪失です。会社の営業利益率が5%なら、50万円の利益を上げるためには営業マンは新規に1000万円の売上を上げなければなりません。
債権には消滅時効というものがあって、商品の売掛金などは2年です。つまり、2年間時効の停止をしなければ、もう払ってもらえない可能性は高くなります。
尚、消滅時効までの年数は2年でないものもあります。例えば、建設業の工事代金などの消滅時効は3年ですが、大工さんの工賃は1年です。
時効は債務者(商品を買った側)が申し立てなければ成立しないので、時効の2年以上経過していても債務として残しておくことは間違いではありません。しかし、回収の可能性がない債権を資産として計上したままにするのは好ましくありません。
逆に考えてみれば、2年間は債権は消滅しないのです。この間は、徹底的に権利を主張することができます。そして、ほんの僅かで構わないのでお金を払ってもらいましょう。
消滅時効は、債務があることを相手が認めた時点で停止されますから、買い手が最後にお金を払った時点から改めて2年間になります。
さて、どうしても代金を払ってもらえなかった場合には裁判を起こすということが考えられます。しかし、その前に相手の懐具合を調べましょう。
「ないものはない」「ない袖は振れぬ」というのは真理です。金がないところからは、どう頑張っても取れません。裁判をするにも費用は高額ですから、泣く泣く諦めてください。
もちろん、金があるのに払わないという場合は、相手は確信犯(詐欺師)ですから、この場合は法的処置を取ることは合理的です。
ここで分かるのは、与信管理の大切さです。お金を持っていない相手に、掛けで商売してはならないということです。
今はお金を持っていないけど、将来入る金で返済してもらえるなんて甘い考えも捨てた方が賢明です。そんな相手に売ってしまった営業マンが悪いということになります。