ダイオキシン規制が少子化を解決させる!

このブログの熱心な読者の方から、「最近のブログは攻めていない」と言われました。今日はちょっと攻撃的です。

 

ダイオキシンは意図して製造されるものではなくて、他の化学製品の製造過程や廃棄物の焼却などで副生物として発生します。ベトナム戦争でアメリカ軍が使用した枯葉剤に、不純物として含まれていたダイオキシンが大きな話題になりました。

 

ダイオキシンは、無色の固体で、水にも酸やアルカリにも溶けず、蒸発もせず紫外線で分解もされない安定した物質ですが、脂肪には溶けやすい物質です。

したがって、食物連鎖によって生体内に濃縮されていきます。特に魚介類を中心とした食生活では人間の体内に蓄積されます。

 

 

ダイオキシン類の規制が始まって今年で15年になります。

この規制はとても厳しいものです。水質の環境基準は1pg-TEQ/ℓです。TEQの説明はややこしいので割愛しますが、1ℓ中に1pg(ピコグラム)というのは、10億トンの水(満水の黒部ダム5つ分の水)に1g(グラム)が溶けているという量です。現在の日本では、1年間に発生している量を全部足しても、1kgにも遠く及びません。

すごく僅かでしょ? 余談ですが、これを測定できる分析技術もすごいですよね?!

 

さて、ダイオキシンは、史上最強の毒物と言われることがあります。しかし、その根拠は実に曖昧です。急性毒性はある種の動物で僅かに現れますが、通常はほとんど現れません。

発がん性があるという認定も、可能性としては高くても五分五分です。

 

しかし、厳しい規制が施行されて、田舎でも野焼きは全面的に禁止されましたし、学校や職場にあった焼却炉は廃止されました。不動産の売り買いでは、ダイオキシン汚染の懸念があると簡単には取り引きできません。ビジネスや経済や景気に対する悪影響は過激でした。

規制によって損失を受けた人からは、人類の歴史上「ダイオキシンで死んだ人はいない!」ではないか、という怨嗟の声も聞かれます。

 

しかし、「ダイオキシンで死んだ人がいない!」のが事実としても、「ダイオキシンで生まれなかった人がいる!」のも事実です。

ダイオキシンなどは、内分泌かく乱物質あるいは環境ホルモンとも呼ばれます。ダイオキシンの摂取が、男性の精子数を減少させることは指摘されています。精子の運動能力や精子濃度にも悪い影響を与えます。

つまり、環境中のダイオキシン濃度が高い状況で暮らしていると、男性の生殖能力が減退していくわけです。

 

日本の環境中のダイオキシン濃度は1970年代から高くなり、最も高かったのは1990年代前半と思われます。したがって、1960年代後半から1980年代に生まれた男性が最も影響を受けていることになります。

その後の厳しい規制のために、現在の日本ではダイオキシン発生量はピークの百分の一以下に下がっています。先に書いたように、現在の日本にはダイオキシンはほぼありません。

 

つまり、日本の少子化というのは、若年男性の所得が伸びないとか、女性の晩婚化・非婚化ではなくて、ダイオキシンによる男性生殖機能の低下が主な要因だったのです。

さて、1990年代以降に誕生した男性(今の25歳以下)は、ダイオキシン蓄積の影響をほとんど受けていません。この世代が父親になっていきますので、これからの日本では、子どもはどんどん産まれてくることになります。

日本の少子化問題を解決したのは、ダイオキシン規制法だったということが、将来の検証で明らかになるでしょう。

 

・・と攻撃的でした。科学的にはこういう議論は難しいですね。

一例ですが、日本人の男性の精子の濃度とか能力についての信頼できるデータがあるわけではありませんし・・。