BCP(事業継続計画)では感染症リスクを評価する

BCP策定する中小企業が増えていますが、自然災害だけでなく感染症を評価しましょう。

 

パンデミック(世界的な感染症の大流行)のリスクは年々高まっています。また、世界的とまでいかなくても、エンデミック(地域的な感染症の流行)は身近な危険です。

震災や台風などの自然災害のリスクと比較して、感染症の流行リスクのほうが発生の可能性と影響の大きさが大きい場合があります。

 

感染症のリスクが大きくなっていることは、皆さん薄々感じておられると思います。

2014年のエボラ出血熱の流行は、ギニア・リベリア・シオラレオネ・ナイジェリアなど、西アフリカ諸国に拡がり、スペインとアメリカ(ニューヨークです)に飛び火して、死者は少なくとも5000人を超えました。

コウモリが媒介するウイルスで、感染すると内蔵が溶けて体中から血が噴き出して死んでいきます。最強の感染症と言われて、致死率50%です。有効な治療法はありません。

 

エボラほど凶悪でなくても、恐ろしい感染症はたくさんあります。また、新型・新種の感染症がどんどん誕生しています。

インフルエンザウィルスが典型です。家畜である豚や鴨などの家禽を通して、遺伝子が変異して、これまでのワクチンが効かない新型インフルエンザができます。中国などアジアの国では家畜と家禽を一緒に飼うのが普通ですから、例えば人から豚・豚から鴨を経由してまた人に感染する(そのときは変異している)ということが起こります。

 

感染症は人の移動によって拡がります。

日本へ入国する外国人は2013年に1000万人を突破するやいなや、昨年は1974万人に増えて、2020年の4000万人という目標も夢ではなくなりました。日本が感染症の輸入国になるリスクは、飛躍的に増えています。

 

入国者の人数が2倍になると感染症の輸入リスクが2倍になるというわけではなく、3倍にも4倍にもなります。これは、主に途上国の経済が豊かになって海外旅行が身近になっていくと、衛生環境が悪かったり、大気や水質汚染があって免疫の低い人の来日が増えてきます。(アジアでは日本・シンガポール等を除けば、上下水道が利用できる人口は半分以下です。)

日本の場合は島国であることから、水際の防疫対策が機能しやすいのは事実ですが、一日平均10万人(年間4000万人)をチェックするのは困難です。

 

もっとも、日本人にとっては感染症の輸出国にならないことも考えないといけません。

日本人は衛生意識が高いので、自分は感染していないと思い込みがちです。2014年に東京・代々木公園でデング熱の感染が確認されたことは記憶に新しいですが、亜熱帯の蚊が媒介したものです。

地球温暖化の影響で、本州でも亜熱帯化してきていますから、リスクは増しています。

このとき、東京に来ていたドイツ人女性が帰国して発症したのが、デング熱のドイツでの最初の感染でした。