大気中メタン濃度の増加に注目

温暖化への影響は、二酸化炭素75%・メタン15%・その他(フロンなど)10%くらいです。

 

二酸化炭素についてはよく知られているので、メタンについて心配している話を書きます。

実は大気中のメタン濃度が最近10年くらいの間に急激に上昇してきています。

下のグラフは、気象庁のホームページにあります。1998年から2007年くらいまでの間は、メタン濃度はほぼ一定に保たれていましたが、2008年くらいから上昇に転じています。

メタンは自然由来で年間170Tg(テラグラム=100万㌧ですから、1.7億㌧)くらい放出されます。メタンは嫌気性(空気が少ない)の湿地(沼とかイメージしてください)から、発酵によって発生します。自然由来のメタンで最も多いのは、湿地からの発生ですが、大雑把に言ってこの発生量は大昔から変わりません。

 

メタンは大気中に放出されると、紫外線などで分解されるので寿命が10年くらいです。地球の大気中でメタンを分解できる能力は、年間500Tgくらいもあります。

ということは、人が関与する前の大気中のメタンの量は170×10=1,700Tgで安定していました。これを濃度にすると600ppbくらいになります。

 

人の活動によって発生するメタンが増えてきたのは、産業革命以降のことになります。

主なメタンの発生源は、家畜である牛などの反芻動物・水田・下水処理などから発生する生物由来のものと、天然ガスや石油を採掘するときに発生する化石燃料由来のものがあります。

 

人の活動が活発になるにつれて、メタンの排出量は増えていき、自然由来との合計が500Tgとなって変わらないならば、大気中のメタンの量は5,000Tg(濃度では1700~1800ppb)で安定します。大気中で分解できるメタンの量は年間500Tgだからです。

1998~2007年は、つかの間の安定状態だったのでしょうか?

 

ところが、ついにメタンの排出量は年間500Tgを超えてきています。正確に測ることができるわけではないのですが、仮に年間530Tgの排出であれば30Tgの過剰排出によって大気中のメタン濃度は毎年10ppbづつ増えていって、平衡することはありません。

 

メタンは二酸化炭素の25倍の温室効果があるガスです。しかし、一方では光化学反応で容易に分解されるガスです。人由来の発生量を抑制することで、大気中のメタン濃度をすぐに下げることができます。即効性があるのですから、優先的に取り組むべき課題です。

 

※ かなり強引に簡略化しています。科学的には完全には正しくないですがご容赦を。