比例代表制の非拘束名簿式を説明できますか?

 参議院議員選挙が終わりました。18歳まで選挙権を拡大した初めての選挙でした。

 

テレビや新聞で選挙の報道を観ていましたが、「選挙に行こう!」とは訴えていましたが、選挙制度についての解説はあまり多くなかったと思います。

私たちのような中年以上の人でも、参議院選挙の仕組みについてはあまり分かっていません。参院選で採用されている「比例代表制の非拘束名簿式」を正確に説明できるでしょうか?

 

国政選挙は、選挙区と比例代表制の二つでおこなわれます。

衆院選では、選挙区300(小選挙区)+比例代表(11地方ブロック)180。

参院選では、選挙区146(原則:都道府県別)+比例代表(全国)96。

 

参院議員の任期は6年で3年毎に半数改選ですから、1回の選挙では選挙区73・比例代表48が改選されました。今回の選挙は、参院選の選挙区で初めて都道府県の枠組みを超えた「合区」が、鳥取・島根と徳島・高知でおこなわれた点でも歴史的でした。

 

さて、比例代表制ですが衆院選は「政党名」だけで投票して、当選するのは予め政党が定めた名簿順位による拘束名簿式です。

一方で、今回の参院選は「政党名」でも「候補者名」でも投票してよくて、「候補者名」の投票は所属している政党の得票になります。ドント方式で、政党の当選者数を決めたうえで、その政党内で得票数の多い候補者から順に当選者を決めるという方式です。

2001年から参院選で採用された方式ですから、今回で6回目です。何とも分かり難い方式ですし、何故このやり方なのかを18歳の人に説明するのはなかなか難しいですね。

 

ちょっと表を載せてみます。

 

際立った特徴は、公明党は候補者名での得票が48.6%と高く、共産党は6.9%と低いことです。これは今回だけでなく継続した特徴なのですが、非拘束名簿方式の場合には、どちらが有効な戦略なのでしょうか?

今回、比例で当選した方の得票数で上位4名は公明党の方で、10位以内に6名が入っています。17名の候補者を立てたのですが、この6名を当選させる予定だった模様です。面白いのは、今回の当選者で得票数が最も少ないのも公明党の宮崎さんでした。つまり公明党は予定した6名より1名多く当選してしまったようです。

一方の共産党は、政党名での投票という戦略だったので、宮崎さんに次いで得票数の少ない下位を固めています。党副委員長の市田さんでも得票数は7万票台と徹底されています。

 

また毎回のことですが、今回の合区などでも一票の格差は解消されておらず、選挙結果は違憲で無効という意見が新聞に出ています。

しかし、参院選の全国統一の比例代表制は投票格差ゼロですが、東京で活動する人が圧倒的に多く当選します。非改選を含めると、東京以外の地方を拠点に活動しているのは96人中30名ほどです。

地方の有権者の意見を反映するという意味では、比例代表の分を含めて、実質的な分析をされてもいいように思います。