風力発電の課題は環境配慮です

風力発電はコストが安く・建設期間が短くてメリットが大きいのですが、環境配慮が課題です。

 

以下、NEDOのデータを参照してまとめます・・

日本の風力発電設備は設備容量で294万kw、設置基数2034基(2015年3月末)です。

2014年度の導入は、24万kw、設置基数113基です。

 

ちょっと割り算すると、累計では294万÷2034=1445kw、2014年度は24万÷113=2087kw 

導入される風力発電設備は大型化しています。2014年度では、90%が2000kw級以上の大型機です。風車の大型化に伴って、単基で運用されることは少なくなっていて、複数基を設置したウインドファーム化が進んでいます。

 

都道府県別の風力発電導入量は、1位:青森県(33万5000kw)・2位:北海道・3位:鹿児島県・4位:秋田県・5位:福島県・6位:静岡県・7位:島根県・8位:石川県・

9位:山口県(11万3500kw)・10位:長崎県・・・です。

風力発電の導入には、ウインドファームを設置するための広大な用地が確保できることと、発電できるだけの風が吹くことが条件になります。

山口県では、2500kwの風車を20基設置(合計5万kw)した白滝山ウィンドファーム(下関市豊北町)という大型発電所があって、県内設備容量の半分近くを占めています。

 

風車の大型化は、コスト効率がよいということもありますが、風況という問題が大きな要素です。簡単に言えば、地上高が高いほど風は強くなりますから、できるだけ高い位置に風車を置きます。

白滝山の2500KW級風車では、風車の中心高さが85mで風車の最高部は129mになります。近くで見ると、巨大さがわかります。

 

さて、日本の風力発電全体の設備容量は294万kwです。おなじみの、中国電力:新小野田発電所が100万kwですからじつに3倍です。

 

但し、火力発電所は実際に100万kwの発電をすることが可能ですが、風力発電所は定格風速(12~13m)があってはじめて設備容量どうりの発電ができます。 

現在のところ、日本の風力発電の設備利用率(発電量÷設備容量)は約20%です。

つまり、294万kwの設備容量でも実際に発電されるのは60万kw分です。中規模の火力発電所1つ分ということになります。

また、この設備利用率は風速によって変わりますから、強い風の吹く冬季には月平均40%くらいに上がりけれど、夏場の月平均は10%を下回るような発電所も多くなります。

 

ちなみに、アメリカの風力発電設備利用率は約29%もあります。これは、アメリカでは風速の大きい陸上に風力発電所を立地することが可能ということで、設備の性能ではありません。

日本は山岳が多くて平原とかがないので、、どうしても陸上立地が困難です。そこで、最近は洋上風力発電が期待されています。陸上より洋上のほうが風が強いのを利用する意図です。

 

さて、風力発電が普及しない最大の原因は「環境配慮」という問題です。

陸上の風力発電所は、未活用の埋め立て地に設置される場合もありますが、多くな自然豊かな山間地にあります。自然を破壊するという指摘には、間違いがありません。また、高さ100mを超える構造物は、鳥類の生存に大きな影響を与えています。

 

洋上の場合でも、水産業への影響が懸念されます。また、海陸を問わず低周波騒音の問題が取り上げられています。科学的な根拠はあいまいですが、低周波騒音が気分障害を吹き起こすという可能性は否定ができません。

「環境配慮」が風力発電の普及には避けられないテーマです。

 

但し、「環境配慮」は比較されるべきだと思います。

風力発電に配慮すべき環境影響があることは間違いないのですが、火力発電や原子力発電の環境影響と比べてどうかというのは、考えてもよいでしょう。

極端に言えば、あらゆる人間の営みは環境に(多くは負の)影響を与えているのです。風力発電に負の環境影響があるのは確かですが、他の電力供給との比較(”差”)によって判断したいものです。

これは、原子力発電のリスクについても同じことです。複数の項目で相対評価をしてみると、景色が変わって見えることは、よくあります。