浮世絵は色が少ないからよい

山口県立萩美術館は浮世絵と東洋陶磁・陶芸の美術館です。

 

萩美術館
萩美術館

最近の浮世絵は春画が話題になったりして、また人気が上がっています。

「浮世絵」という言葉は、井原西鶴の好色一代男に出てくるのが最初です。初期の浮世絵師としては菱川師宣や鳥居清信が有名ですが、この頃は単色刷りに肉筆で着色していました。

その後、多色刷りの技法が開発され、同時に和紙の品質が向上したこともあって、錦絵と呼ばれる豪華な浮世絵が誕生します。喜多川歌麿や東洲斎写楽、葛飾北斎や歌川広重といった名人が人気を集めていきました。

 

さて、浮世絵(錦絵)を観ると、一見は豪華なのですが実は色数がとても少ないのです。

まぁ、木版画なので当然で、版がズレないように細心の注意を払って重ね刷りをするのですから、どんなに頑張っても版木は10枚が限度です。黒が輪郭と濃淡で少なくとも3枚必要ですから、色が刷れるのは最大で7枚ということになります。

その制約の中で、いろいろな工夫をして作品が出来ているわけです。浮世絵のよさは、色数が制限されて少ないことからも出てきています。

 

現在はデジタルで絵を描いたり写真を撮ったりします。RGBでの色表現は1677万色もあるそうです。これを印刷で表現するCMYKでの色表現は1億通りもあるそうです。

人間の目がその色の差を認識できるわけでは無いのでしょうが、作者が望むどんな色表現でも可能です。美しい画像や映像は、大判印刷や大画面ディスプレーの普及に伴って、多くの新しい感動を与えてくれます。

300年余りの間に、単色刷りから1億色まで技術は進歩してきました。表現者を縛っていたいろいろな制限は、技術の進歩が解決しています。一方で、制約のなかにある趣といったものも人々を惹き付けます。

 

ちょっと、「色」ついでです。宇部から萩は、ほぼ真北で直線的に行けます。

山口県以外の人は知らないと思うのですが、山口県の県道のガードレールは夏蜜柑色をしています。この夏蜜柑色(濃いオレンジ色)が、山口県のイメージカラーです。サッカーのレノファ山口のユニフォームもこの色です。

 

またまた余談ですが、この時期の県道は、田植え機とか耕運機とかが、ゆっくり走っていることが多いので気をつけます。