少数だから精鋭になる

むちゃくちゃ忙しかった時代に、当時の社長が言っていました。

 

「少数精鋭」という言葉があるが、「少数だが精鋭を集めて戦う」という意味ではなく、「少数で戦えば皆精鋭になる」ということだ。・・・

う~ん!? ちょっと今なら無茶苦茶かも知れませんが??

 

「少数ならば精鋭になる」の対偶は「多数ならば精鋭にならない」ですから、この命題は真理ではなさそうです。

また、「精鋭」というのは、多数のなかから「選りすぐったもの」という意味ですから、もともと少数なら選りすぐりようがありません。

 

但し、「少数だから精鋭になる」で、少しだけ元気にはなりました。

当時、私たちの会社では、つくっていた製品が大きな利益を出していました。それを見て、私たちより少し大きい規模の同種の会社が参入して、数社で売上をシェアした時期があります。利益は減りましたが、少し安定しました。ここに大手の1兆円企業が新たに数社も新規参入を試みました。もともと大手企業が取り組むような規模の市場ではないので、うまくはいかないのですが、こちら側は大騒動です。そこで、「少数だから精鋭になる」です。・・・顛末は省略。

 

少人数の企業に入社した新入社員には、いろん雑多な仕事がやってきます。何といっても人手不足は中小企業ほど深刻ですから、待ってましたです。早く仕事を覚えてもらって戦力になってもらいたいと願っています。(まぁ、先輩が少しでも楽になりたいという想いもあるでしょうが・・)

そういうときに、「こんな少数では戦えない」と思わずに「少数だから精鋭になる」と考えてみるのも好いでしょう。元気が出ます。

戦いで「少数精鋭」に対抗するのは「人海戦術」でしょうが、大きな戦力で死屍累々を築いて最後に勝利を得るのではなく、小さな戦力でも的を絞って効果的に戦うほうが格好いいですね。

 

一方で、大企業に入った皆さんは本当の意味での「精鋭=選りすぐり」を目指してください。 

実は大企業でも、「人海戦術」なんてありません。京セラのアメーバ-経営や、パナソニックの戦略ビジネスユニットのように、大企業でも戦うときは仮想的な小さな組織をつくります。管理や評価の単位という意味もありますが、「少数にすることで精鋭候補を育てる」ということにも通じます。

 

会社では、どんな単位の仕事でも組織でも「上位20%」が利益を産みます。”2:8”の原則は、白い仮説です。1万人なら2000番・千人なら200番・100人なら20番・10人なら2番・・・5人なら1番ですね。つまり、「少数にすることで精鋭を見つける」という意味もあります。