謝罪会見・・事実を言って、素直にごめんなさい

毎日何かの謝罪会見がおこなわれて、テレビやラジオを賑わせます。

 

謝罪会見を開くというのは、かなりの事態です。どうしても、多くの人の前に姿をさらして謝らなければいけないということですから、よほど酷いことをしてしまったということです。

但し、面と向かっての謝罪ではないので、準備をする時間はあります。何をどう謝罪するのかは、事前に周りの人と相談しておくことができます。

謝罪会見には、うまくいったケースも、うまくいかなかったケースも両方あります。

 

今日、某大病院の謝罪会見がニュースで流れていましたが、うまくいかなかったケースでした。

謝罪をするに至ったのは、腎臓がんで腹腔鏡手術をした女性が体調が悪くなったと来院したところ、体内から医療用ガーゼが出てきたという事故です。

この病院では、腹腔鏡手術で複数の患者がどうもはっきりしない理由で死亡したり、検体の取り違えで必要がない手術をしたりと、問題が相次いでいました。

 

うまくいかなかった理由は2つです。

「ほんとうのことを言っていない」 ・・ 嘘をついたわけではないです。

「責任がどこにあるか言っていない」・・ 責任がないと言ったわけではないです。

 

手術(しかも腹腔鏡手術)をしていて、医療用ガーゼが体内に残置されるケースはあるでしょう。それを発見するために手術後にはレントゲン検査で確認をする(手術用ガーゼには鉄線が入っていてレントゲンで見える)わけです。

その検査をなぜしなかったのかが最大の問題のように思えるのですが、ガーゼの数を数え間違えたことに焦点を当てました。また、手術の翌日に病状確認のためのレントゲン検査をおこなったときに、手術用ガーゼを見落とした理由も伏せました。

 

肝心なところでほんとうのことを言っていないので、責任についても曖昧です。

 

今回の手術は7人(外科医3人・麻酔医1人・看護師3人)でおこなったのですが、「ガーゼの枚数は看護師が確認する」と言って、あたかも看護師の責任ともとれる発言がありました。そのうえで、7人のなかで責任者が決まっていたわけではないと言いました。当然、3人の外科医の中の1人が責任者のはずですから、ちょっと変です。

病院という組織の問題ですと言っているつもりなのか知りませんが、外から見れば誰も責任を感じていないように思えます。(機長の決まっていない飛行機で事故が起きて、航空会社の責任ですと言われたら、その会社の飛行機にはもう乗らないでしょう。)

 

結果として、病院の信頼を更に損なう結果になったのではないでしょうか?

 

今回の謝罪会見では、

「(ほんとうのことを言って)ごめんなさい。

(ここに問題がありました)これからは十分注意します。」

 と、素直に言えばよかったように思います。

 

最近の謝罪会見では、責任を組織内の弱い立場の人に消極的にせよ転嫁するケースが目に着きます。これは、印象がとても悪いですね。

もっとも、謝罪そのものを拒否した創業者さん(ブラック企業大賞受賞)なんかも居られましたが・・。