中小企業でもリスクアセスメントに取り組む責任がある

あらゆる生産活動にはリスクがあります。製品の企画から製造・流通・使用・廃棄まで全てのライフサイクルでリスクアセスメントをすることが必要です。

 

事業者は、法律やルールを守らなければなりませんが、守っていれば足りるということではありません。新しい技術や製品が作られていきますから、より安全にと改善を続えける活動は重要です。

 

リスクアセスメントをおこなったからと言って、リスクはゼロになるわけではありませんが、おこなうことでの気づきがリスクを低減することになります。世の中に「絶対安全」はあり得ないのですが、諦めないで可能な限りリスクを小さくして安全を求めるのです。

 

製品のリスクアセスメントの手順にはいろいろあるのですが、代表例を紹介します。

1)意図される使用の特定 (対象の製品がどう使われるか)・予見可能な誤使用の特定(誤った使われ方が予見されることは多い)

2)使用(誤使用)の全段階・全条件でのハザード(危険状態)の特定

3)ハザードが起こすリスクの見積り(リスクはある)

4)リスクの評価 (リスクは許容できるか否か)

5)リスクの低減 (許容できないリスクは低減する)

 


 

石油ストーブ(旧式だが耐震消火装置付き)の例

1)意図される使用は、芯を出して着火し、炎の高さで芯の長さを調整して、消火にときは芯を収納する。

予見される誤使用は、蹴とばして(耐震消火装置を作動させて)消火する。火がついたままの石油ストーブを持って、あちこちを歩き回るようなことまでは通常は予見されません。 

 

2)ハザード(危険状態)は、給油するときに灯油が漏れる・熱いストーブに接触する・ストーブにぶつかる・洗濯物をストーブの上に落とす・不完全燃焼する・ストーブを倒す・・・

 

3)リスクの見積りは、漏れた灯油に引火して火災になる可能性・熱いストーブに接触して火傷を負う可能性・ストーブにぶつかって転倒する可能性・・・・

 

4)リスクの評価 : 通常は「発生頻度」×「危険の程度」というマトリックスを活用します。簡単に言えば、発生頻度が高くて、且つ危険度も高いリスクほど重要で許容できないと考えます。

 

例えば、「ストーブに接触して酷い火傷を負うリスクが許容できない」としますと・・

5)リスクの低減 : 例えば、「ストーブの外装を二重にして人が接触する部分が火傷するほどの高温にならないようにする」などです。

 

リスクアセスメントは結構面倒なのですが、中小企業であっても自社の製品や活動に対しては、ときどきは実行してみることが必要です。小集団活動でも構いませんし、今の時期なら新入社員教育としておこなってもいいと思います。

 

尚、リスクは必ずあります。リスクをゼロにすることは絶対にできません。許容できるレベルまで低減することができるだけです。