人手不足

 このところ、山口県内はどこに行っても人手不足で困っているという話ばかり耳にします。

 

 山口県内の製造業や建設業で現在の最大の経営課題は「人手不足」です。県内のどの地域に行っても、働く人がいないという話を聞きます。

 需要は旺盛で仕事はたくさんあります。工場の機械設備や建機・トラックなどにはまだ余裕があって受注して売り上げを伸ばしたいのですが、オペレーターがいません。そのために、仕方なく仕事を断っています。今年のほうが、むしろ前年同期よりも売上高が減少した会社もあります。

 

 つまり、仕事が増えているので人手を増やしたいけれどそれが叶わないので人手不足になっているのではなく、仕事は増えているのに、むしろ人手が減っている。具体的に言えば、仕事が忙しいところを、人が辞めていくというケースがたくさんあります。

 

 地方の中小製造業や建設業の職場環境は必ずしも整っていません。そこで、よりよい職場(実際はともかく、そう見える職場)に魅かれて異動する人材が多くなっています。

 人材を引き止めるために、山口県でも賃金は上がっていっています。

 新聞の折り込みに入るパート・求人場情報の条件は毎週よくなっています。3年前では、時給が県の最低賃金そのままの募集が半分くらいあったと思いますが、今では全く見ることがありません。

 ”最低賃金1000円”という提言を耳にしますが、最低賃金の意味合いが薄れており、現実が近づきつつあります。

 

 人手不足解消には、いろいろな方策が提案されていますが、今のところは決め手がありません。各社ともに、暗中模索している状況です。

 もちろん、人手確保には賃金アップを中心とする待遇改善が第一に必要です。そして、経営としては、賃金をアップしても総コストは下がるという革新に取り組みます。

 中小製造業や建設業の生産性向上の余地はまだまだあります。それは現場にもありますし、間接部門にもたくさんあります。原価低減や品質管理などの改善の機会を掴まないとなりません。

 

 また、中小製造業の多くが大手企業の下請です。建設産業の場合は、重層下請構造が厳然としてあります。多層化した受発注の階層のなかに消えていくお金がどうしてもあります。このお金を消さないで、使い切ることも大切です。

 

 目先の人手不足を嘆いても仕方ないので、中長期的な視点で人材確保の道を模索していくしかありません。