掛け値しなくちゃ女房子供は養えない

落語の「かぼちゃ屋」・大阪では「みかん屋」のサゲ(オチ)です。

 

『与太郎は二十歳になっても毎日ブラブラしているので、八百屋の叔父がかぼちゃの行商をさせることにします。元値は大きいのが十三銭で小さいのが十二銭。それぞれ十個を天秤棒にぶら下げて売りに行かせます。本場もので美味しいかぼちゃです。 

 

与太郎は裏長屋に入っていって、すったもんだした挙句に、気のいい職人に出会います。値段はいくらだ?大きいのが十三銭で小さいのが十二銭?安いじゃないか! 職人が長屋のおかみさんたちに声を掛けてくれたので、あっという間に売り切れました。

 

 

全部売り切ったと聞いて叔父は喜びますが、元値で売ったと気づいて「いいか、十三銭なら十五銭・十二銭なら十四銭と掛け値をするのが商いだ。人間、掛け値をしなけりゃ女房子供は養えない。もう一度、売ってこい!」と、かぼちゃを持って売りに行かせます。

 

与太郎はさっきの裏長屋に戻って、気のいい職人にさっきのは元値だったので、今度は掛け値で買ってくれと頼みます。職人は、そうかおまえはトボけた奴だ。いったいいくつだ?

「四十です」「そんな年には見えないぞ」「もとは二十歳。四十は掛け値」「歳に掛け値するやつがあるか!」「だって、掛け値しなくちゃ女房子供が養えない」』

 

この落語は、商売の基本を教えてくれます。

ついでに言えば、年齢や経験・能力に掛け値をするのも、ビジネスでは基本です。かぼちゃも”本場もので美味しい”と言うから、売れるのです。

但し、掛け値はバレると台無しです。いくら安くても不味いかぼちゃは二度と買ってはもらえません。信用には掛け値ができません。

 

CoCo壱番屋のカツが端緒になった廃棄食品の転売は、大手食品流通にも拡がりました。廃棄物処理費をもらいながら転売したルートが明らかになっています。

壱番屋(-?円)⇒ダイコー(33円)⇒みのりフーズ(40円)⇒A社(50円)⇒B社(68円)⇒C社(80円)⇒スーパー⇒消費者

 

元値はマイナス(廃棄物処理費を受け取っている)ですから掛け値とは言えません。酷すぎます。こんなことでは、「女房子供を養っている」とは決して言ってはなりません。

 

長年に渡り、いろいろな商品で同様なことを繰り返していたようです。もしかしたら、他の業者・他の地域・他の商品でも同様なことがあるのかも知れない。氷山の一角ではないかと疑われます。

各地で安売りしているスーパーなどには、消費者の疑念の目が向くこともありそうです。また、産業廃棄物排出者は処理業者への監査を強化することになりそうです。行政の監督も厳しくなります。

 

それぞれの業界で、真摯に対応しなければ、正直に事業をしている会社にも波及します。

迅速で正確な対応をして欲しいと思います。