地球温暖化 フロンに注目してください

COP21開催中です。温室効果に大きな影響があるフロンについて、解説しておきます。

 

今年は「改正フロン類法」が施行されたので、フロンは注目されています。しかし、そもそも、フロンの何が問題で、どうするばよいのかが、わかりにくいのです。そこで、よく質問があります。

そこで、時代を追って、ごく簡単に解説します。 

 

1.フロンは、塩素とフッ素と炭素から出来ています。人体に無害で・耐熱性や絶縁性に優れ、難燃性で爆発もせず、化学的・熱的に安定です。アメリカのGM社が開発したフロンは、奇跡の流体と呼ばれて、1930年代から世界中に普及しました。

主な用途は、冷媒です。冷凍冷蔵庫やエアコンなどに使用されます。他には、半導体製造や発泡剤、消火剤などでも有用です。

 

2.フロンは空気より重いのですが、大気の流れによって20年くらいかけて地表から2万~3万mの高さまで上昇していきました。とても安定な物質であるフロンは、その過程で分解されることはありませんでした。1950年代以降のことですね。

また、当時はよくわかっていなかったのですが、フロンは炭酸ガスの1万倍ちかい温室効果をもたらすガスでもありました。

 

3.地表から2万~3万mの高さには、オゾン層があります。オゾンは酸素原子3つの物質です。

このオゾン層は、太陽から地球に降り注ぐ紫外線を吸収する働きをしています。オゾン層によって、有害な紫外線がカットされることで地表の生物が生きていられます。

 

4.1970年頃から、オゾン層に穴が開いているとか、薄くなっているということが判ってきました。南半球を中心に、皮膚がんや家畜の目の病気などが増加するなど、具体的な被害もでてきました。この原因が、フロンを構成する塩素であることが突き止められました。

 

5.1980年代には、フロンからオゾン破壊をおこさない「代替フロン」への転換が進んできました。1990年代には、フロンの製造や使用が禁止されたり、規制されるようになりました。

ここで、注意が必要なのは「代替フロン」はオゾン層は破壊しないのですが、温室効果は相変わらず高かったということです。

 

6.1990年代に入り、世界的に地球温暖化の危険が理解されたことで、フロンと「代替フロン」が共に問題になりました。フロンを漏らさないで回収して破壊する活動を進めています。

とても、やっかいなのはフロンが非常に安定な物質であることです。

  

7.2000年代に入り、フロンや代替フロンの使用実態を詳しく調べると、回収できずに漏れている量が予想以上に多いことが判ってきました。

そこで、改正フロン法では、「代替フロン」を漏らさないために、厳密な点検・検査と記録が義務付けられました。 

 

8.同時に、冷媒ノンフロン化の研究開発が進んで、商品化がはじまりました。

また、温室効果が小さい(炭酸ガスの数百倍)代替フロンが提案されるようになりました。

 

9.ぶっちゃけ話ですが、改正フロン法の義務は、使用者にとっては非常に面倒です。

何故、こんな面倒をさせるかと言えば、代替フロンからノンフロンあるいは温室効果の小さい代替フロンへの置き換えを促進したいからです。

   

※今後は、フロン(このフロンは代替フロン)の完全回収・破壊から、フロン廃絶へと進んでいきます。欧州では、環境税の一つとしてフロン税の導入も進んでいます。