経営や金融や保険と数学

経営や金融・保険といった分野でも数学は多いに活用されています。

 

フィールズ賞が若手研究者を対象としていることは書きました。

 

2006年から国際数学者連合は新たにガウス賞を創設しています。これは、社会に大きな影響を与えた数学の研究に対して与えられるもので、授賞式はフィールズ賞と同時におこなわれます。つまり、4年に一度です。そしてフィールズ賞と違って、年齢は問わず、受賞者は一人だけです。

 

2006年の栄えある第1回目の受賞者は、伊藤清(京都大)教授でした。第2回(2010年)はフランス・第3回(2014年)はアメリカの研究者がそれぞれ受賞しています。

伊藤教授は「伊藤解析」と呼ばれる確率微分方程式と確率積分理論を構築しました。この理論は、金融ファイナンスの分野で多くの応用が為されました。

最初の論文は、伊藤が内閣統計局に勤務していた26歳のとき、戦時中の1942年に発表されたものです。その後、京都大学に移って研究を続けられました。

 

 

伊藤解析を簡単に言えば、何も規則性を持たない曲線を方程式で表すことを可能にした。ということだそうです。

この方程式は、R・ブラウンが発見した水の上の花粉のランダムな動き(ブラウン運動)から、株価の変動まで、多くの分野で応用されました。ただ、伊藤は自分の研究が、経済学の発展に大きな寄与をしたことをあまり自覚していなかったとも言われます。

 

保険や年金の分野では、保険数理を専門にするアクチュアリーという職業があります。(日本には1000名余りのアクチュアリー資格者がいるだけで、かなりの難関資格です。)

私たちの日常生活の中でも、金額的に最も影響が大きいのに、最も訳が分からないのが保険や年金の分野です。ファイナンシャル・プランナーでも、年金・保険は関心が高いのですが、人によって理解に差が出やすい項目です。

 

広く金融の世界は、リスク管理という面で人生設計に直結します。ほんとうは、多くの人に数学や統計学の基本的な理解が必要なのだと思います。