軍事パレードに国家予算の三分の一?

 北朝鮮の軍事パレードには、国家予算の三分の一にあたる1000億円が使われたという観測です。


 いくつかの報道で見ましたが、この記事では「おやっ!?」と思うことがあります。

 

 先ず、北朝鮮の国家予算は3000億円しかないの?と言う素朴な疑問です。

 日本の国家予算は一般会計と特別会計の合計では約200兆円です。アメリカが300兆円くらいで世界1位。日本は中国と並んで2位グループです。続く100兆円前後の4位グループが、ドイツ・フランス・イギリスの三か国です。

 

 北朝鮮の経済規模はよくわからないのですが、確からしい数字としてGDPは3.5兆円くらい(日本は約500兆円)と予測されています。

 但し、このGDP値が地下経済の分をどの程度含んでいるかどうかが不明です。各国が発表するGDPでは地下経済の含みかたによる誤差があります。日本でも、売春・賭博・密売・・など表に出ない経済規模が20兆円くらいあると言われます。このなかにも北朝鮮と関わりがある部分があるでしょう。

 北朝鮮は中国との間に長大な国境線があり、かなり自由に往来もできているようです。したがって、地下経済も含めた北朝鮮の経済規模は3.5兆円よりかなり大きいのかも知れません。社会主義の閉鎖国家ですから国家予算はGDPの過半でもおかしくないでしょう。現実的な国家予算は2兆円とか3兆円とかになるのではないのか?と思います。


 また、北朝鮮の軍事費は約5000億円(日本の防衛費は約5兆円)という記事もありました。弾道ミサイルや核兵器など作ろうと思えば、それくらいは必要だろうと思います。この軍事費からの逆算でも、国家予算は2~3兆円規模なのかと思います。

 

 軍事パレードより国民の食糧が重要なのではないか? 多くの報道の論調は、国民が貧困に苦しんでいるのに無駄遣いをしている。と非難しています。

 しかし、仮に1000億円を国民(2500万人)に分けても、4000円ですから”焼け石に水”かも知れません。それより、軍事パレードで世界にアピールするほうが、国民の元気が出るような気もします。こういうイベントに思い切って出費をすることができるほどの強い体制だということです。

 

 中国の実力者が軍事パレードに参加したことで、中朝関係の改善が感じられます。中国からの資金移転も増えているようです。北朝鮮の経済開放はアングラ部分(ヤミ市場)から拡大していると思います。この変化が、日本にとって吉なのか凶なのかは難しいところです。


 よく「北朝鮮は内部崩壊する」とかいう記事が出ますが、そんなことはなさそうです。強盛国家とまでは言えないかも知れませんが、実力をつけてきています。

 何かのきっかけで暴発しそうな雰囲気も強くあります。もしものときにも、日本が無傷でいられると思うのは呑気過ぎるでしょう。用心だけはしておいたほうがよいでしょう。