世論調査の設問は誘導的

池上彰さんが、朝日新聞で読売新聞の世論調査の設問が誘導的だと批判されています。

 

世論調査やアンケートは、どんなものでも多分に誘導的になります。

 

例えば、集団的自衛権の行使容認に関する世論調査の結果、「反対」すると回答したのは

朝日新聞の調査で56%・日経新聞の調査で49%  ・・ ほぼ半数

読売新聞の調査で26%・産経新聞の調査で25%  ・・ ほぼ1/4

と、調査した新聞社によって、結果に大きな差が出ました。

 

この差ができた理由は・・

朝日と日経調査の選択肢は

「行使できない立場を維持する」

「行使できるようにする」          

の2種類だけなのに対して、

 

読売と産経調査の選択肢は

「全面的に使えるようにすべきだ」

「必要最小限の範囲で使えるようにすべきだ」

「使えるようにすべきでない」        

の3種類があったことです。

 

 

つまり、読売と産経調査では「必要最小限の範囲で使えるようにするべきだ」という中間の解答が70%近くになっていたそうです。

このため、「反対」が大幅に減りました。

 

何にせよ、世論調査は設問を含めて、調査の方法をきちんと公開することが必要です。

 

ところで、就職活動中の大学生に、

もしあなたが就職した会社が酷い不正をおこなっていることを知ったら・・

「実名で告発をする」

「匿名で告発をする」

「何もしない」  

の3種類の選択肢でアンケートしたら、95%以上が「何もしない」と解答したそうです。

 

この結果を持って、最近の若者は気骨が無くなった。とか、不正の隠ぺい体質は若い世代にも引き継がれている。とかの解説があるとすれば、ちょっと違うかもしれません。

「実名で上司に告発する」

「匿名で秘密を守る弁護士に告発する」

「何もしない」  

の3種類に選択肢を変えると「何もしない」はすごく減ると思います。

 

結論としては、意思決定の材料を探しているときには、世論調査やアンケートの結果を簡単に鵜呑みにせずに、設問や調査対象者など調査全体を慎重に取り扱わなければなりません。