笹子トンネル事故~ケミカルアンカーの点検を!

先日、笹子トンネル事故で5人の方が亡くなった大型ワゴン車が公開されました。


2012年12月2日の朝、中央自動車道の笹子トンネルで天井板が崩落した事故がありました。

偶然なのですが、当日のその時間にちょうど東京から長野県に向かって中央道を走っていました。通行止めの案内で、大月ICから一般道に迂回することになって、予定が大きく遅れてしまいました。後になってから前代未聞の大事故だったとわかって、たいへん驚きました。

 

この事故では、3台のクルマが崩落した天井板の下敷きになって9人の方が亡くなられました。

日本の道路インフラが耐用年数に達している。同種の事故が再発する可能性が高いと言われ、中日本高速道路の管理体制が不備であったことも指摘されました。

 

即座に改修工事が着手され、中央道の全面開通は翌年2月8日となりました。

不通が解除されても片側交互通行のときが長く続いて、中央道(道路インフラ)の重要性を認識することにもなりました。

その後、再発防止のために全国の吊天井方式で換気をする構造のトンネルでは、天井板を撤去しました。また、天井板以外のトンネル内設備の点検も全国でおこなわれました。

 

ところで、この事故の原因の最重要なところは「ケミカルアンカーの劣化」です。

通常、大型の構造物ではアンカーは生コンクリートのなかに埋め込まれて設置されます。しかし、この方式では最初の設計通りに構造物を取り付けなければなりませんし、アンカーの位置精度も必要ですし、後で手直しができないので面倒です。

 

そこで、笹子トンネルの建設と同じ時期の40年くらい前から、ケミカルアンカーという方式が使用されるようになってきました。

 

ケミカルアンカーの仕掛けは、①コンクリートなどの基材に少し大きめな穴をあける。⇒②そのなかにケミカル(接着剤)を入れる。⇒③これにボルトを挿入すると接着剤が硬まって固定される。というものです。

この方式でも、埋め込み式アンカーと比較して、同等の強度が確保できるとされました。また、この方式では施工後の手直しもできますので、とても重宝されて素早く広く普及しました。

しかし、問題なのは『ケミカルアンカー』の接着剤です。施工直後には強度に差がなくても、化学品である接着剤そのものは、経年劣化がおこります。トンネルは排気ガスなどの影響を受ける過酷な環境で劣化も促進されるでしょう。

 

トンネルだけでなく、一般の工場でもケミカルアンカーは多用されていると思いますので、この機会にチェックしてみるとよいかも知れません。