1万円札を9000円で売る

 「1万円札を9000円で売るのを営業とは言わない。」とよく言われます。

 

 では、「1万円札を10万円で売る」のが営業かと言えば、実はその通りなんだと思います。

 

 製造業で5000円で材料を買ってきて、それを加工してできた製品を1万円で売るとします。加工にかかった経費が4000円だとすれば、1000円が利益になります。

 個人を相手のサービス業で、1時間のサービスを2000円とか3000円の代金で提供します。サービスする人の時給から出てきた金額です。

 こんなビジネスでしたら営業はいらない。と言うか、営業がいないから、こういうビジネスになっているのでしょうね。今の日本では、「営業」こそが必要なスキルなのだと思います。

 

 A社の原価3000円の掃除機は8000円で売られ、D社の原価4000円の掃除機は12万円で売られています。D店の原価40円のネクタイは100円で売られ、Fブランドの原価60円のネクタイは8万円で売られています。買った人は、どちらも大満足をしています。


 「買い手」よりも「売り手」が多くて、「買い手」には何も買いたいものがないという時代です。「売り手」は、自分が買いたいものが解っていない人を相手にしなければなりません。

 決して無理な押し売りをせず、「買い手」に満足してもらい、また次の機会にも買ってもらわなければなりません。新しい「買い手」がどんどん出てくるわけはありませんから。

 

 このためには、「売り手」は提案をして、「買い手」に選択してもらうことになります。

 この提案をうまくする力が「営業」です。提案は多すぎては選べなくて、一つしか提案しなければ選ばれません。「買い手」の満足は、自分自身の自由な判断でそれを選んだという気持ちによって確実になります。

 少し乱暴ですが、「営業」とは、「売り手」が売りたい商品を売りたい価格で「買い手」に自分自身の自由な判断で選択させることです。

 

 ところで、1万円札の中で、あなたが10万円で買いたいと思うのはどんな1万円札でしょうか?

 ( 例えば、紙幣番号が「777777」だと市場価格は2~3万円だそうです。)

 結構、いろいろなアイディアが出てくると思います。これがあなたのビジネスのタネですね。