LGBT 多様性を守る

古川薫さんの「失楽園の武者」を読みました。大内家31代当主大内義隆の物語です。

 

大内義隆は防長2国に石見・安芸・筑前・豊前の合わせて6国を治める大大名でした。大内家は日明貿易を独占することで巨万の富を持っていました。この富を充てにして、戦乱よりも文化を楽しみ、山口を西の京として絢爛な街に仕立て上げました。多くの公家や文化人を今日から招いて、連夜の宴を催していました。

 

戦国の時代に、浮世離れした浪費が長く続くはずもなく民衆は疲弊し、部下は離反して重臣・陶晴賢の謀反によって、実質的に大内家最後の当主となりました。

大内義隆は人生のなかで何度か、衆道(つまり男色)にのめり込む時期があったようです。大内義隆が最初に溺れた男性というのが、少年・陶晴賢その人です。 

 

戦国武将の多くが衆道に溺れていたことはよく知られていますし、当時は女性のほうも同様だったようです。同性愛やバイセクシャルが当時の支配階級では一般的に見られ、忌避されていなかったようです。

フランシスコ・ザビエルは大内義隆の庇護の下、山口に協会を設けて布教をおこないました。ザビエルが同性愛や妻妾を持つことを非難する説教をしても、義隆はあまり気に掛けていないようです。

 

ところで、オリンピックが日本で開催されます。著名なアスリートには同性愛者がたくさんいます。ロシアのプーチン大統領が同性愛を抑止しようとする政策をとったことがあります。ソチでの冬季オリンピックがこの政策に反対する人々によってボイコットされそうになったのは記憶に新しいことです。結果として、「性的志向による差別の禁止」は、オリンピックのアジェンダとなりました。

 

現代においては、LGBTなどの性的マイノリティーを守ることは重要なテーマです。

L 同性愛 レズビアン

G  〃  ゲイ

B 両方の性を好きになるバイセクシュアル

T 体と心の性が一致しないトランスジェンダー、いわゆる性同一性障害

 

話が飛躍しすぎですが、企業においても性的志向での差別はできなくなってきています。

どこまでを多様性として認めるのかは、難しい議論ですが、社会の変化に合わせるしかなさそうです。スポーツの世界でも性を変更した選手を、どの種目でエントリーさせるのかが問題になりました。企業においても、ボーダーがなくなると判断に困ることもでてきます。

いろいろややこしいのですが、現代社会では企業の社会的責任のなかにLGBTへの寛容が含まれるようになってきたのは確かなようです。