公害の苦情で多い「騒音」の測り方

公害に関して自治体に寄せられる苦情は、年間83,000件もあって近年はあまり減っていません。

 

近年では、昔ながらの公害はかなり改善されているのは現実です。しかし、自治体に寄せられる苦情件数はあまり減っていはいません。

 

その原因には、主に二つあります。

一つは、典型公害以外の公害についての苦情が増えていることです。具体的に言えば、廃棄物の不法投棄に関するものが最も多く、電波障害に関するものも増えています。

 

もう一つは、騒音に関する苦情が増えていることです。保育園の子どもの声が騒音公害だという話題もあり、夏のこの時期には公園で鳴く蝉(セミ)の鳴き声がうるさいという苦情が各自治体に寄せられます。静かな環境で生活したいというニーズは年々高まっています。

 

ものづくりでは騒音を発生させる行為がどうしてもあります。そこで、工場では低騒音機器を使用したり吸音材や遮音材を使用して騒音の低減に努めます。遮音材も昔は壁に貼るだけでしたが、音の伝播をシミュレーションできるようになった現代では、効果のあることが判った遮音天井も多くの工場で導入されています。

 

難しいのは、建設業です。屋外で毎回異なる場所で異なる作業をおこなうので、完全な騒音対策をおこなうのはなかなか困難です。最善の方法を選択して、騒音(や振動)の大きさを最低限に抑え、無用な騒音を起こさないように万全の対策を取ることが必要です。そして、何より事前に周辺住民の方とコミュニケーションをとって、協力をお願いすることが大切です。

 

騒音を測るのは「騒音計」です。現在の騒音計は驚くほど高機能で、デジタルによる演算機能を持って、低周波数でも低ノイズレベルでも測定できます。また、騒音の規格は世界で微妙に違うのですが、国際規格との整合性が取れる計器も増えています。

 

最初の「騒音計」は、1930年頃にドイツのハインリッヒ・バルクハイゼンの考案によって作られて、シーメンス社から販売されました。

その原理は、音の大きさを調整できる受話器を片方の耳に当てて聴きます。その場所の騒音の大きさと一致するようにダイヤルで音の大きさを調整して、そのときのダイヤルの位置が騒音レベルになるというものです。今から見ればとてもいい加減で、信用ならないのですが、当時としては騒音を数字で表せる画期的な装置だったようです。

 

ちなみに、このときに騒音レベルの単位として使われたのが「フォン(ホン)」ですが、現在ラウドネスレベル(感覚的な音の強さレベル)の単位として使われるものとは違います。

 

うっとおしい夏の騒音は、特に皆さんに不快な思いをさせます。ものづくりに携わる側は、騒音の発生と抑制に一層慎重に対処しなければなりません。