山口県の中小企業でM&Aが低調なのは?

山口県ではM&Aが未だに低調です。経済を発展させるためには、この活性化は必須です。

 

山口県の中小企業の経営に関してキーになる方(本来は、M&Aの仲介者・支援者に当たる方)と話をしましたが、M&A(合併と買収)について少しネガティブなお考えでした。

 

しかし、中小企業のM&Aを活性化させるのは、山口県の経済にとって緊急性の高い課題です。どんなM&Aでも好いとは言いませんが、売り手も買い手も双方が企業価値を高めることに成功する事例の方が、失敗する事例よりも圧倒的に多いのです。

数ある「経営戦略」のなかで、最も成功確率の高い戦略と言っても間違いではありません。

 

M&Aには、「買い手」「売り手」「仲介者(支援者)」の3者が必要です。

 

先ずM&Aの「買い手」ですが、こちらは非常にたくさんいます。自社の事業とのシナジー効果を高めて企業価値を高めるために、時間をお金で買おうという方です。現在は、優良な「買い手」は多くの資金を持っていて、事業を買いたいという意欲に溢れています。結果として、事業計画の見直し、業務改善や事業の育成によって「売り手」企業の企業価値も大きくなります。

※とても気になるのは、「買い手」は早くお金を使って事業を買いたくて、手っ取り早く買える海外の会社を買いに走っていることです。株主に資本効率を問われる会社は、お金を持っておくことができず、早く使わなければなりません。

 

問題があるのは「売り手」です。中小企業のM&Aは「事業承継」と結び付けて考えられることが多く、それ以外では業績悪化での撤退です。もし、会社を清算する場合には、土地や工場などの資産を現金化しなければなりません。その手間とコストは膨大です純資産価額以下のお金しか残りません。一方で、M&Aで会社を売却する場合には、純資産価額を超える金額が手に入り従業員の雇用や得意先との仕事も残るので、どちらがよいかは自明です。

 

中小企業の場合、社長=オーナーで会社と個人の境目がはっきりしません。しかし、それでも法人になっているのです。自然人である社長はいつかは死んでしまいますが、法人である会社に寿命はありません。自分と家族の幸せ、従業員と地域への貢献、取引先の発展などを考えれば、M&Aは検討されて然るべきです。

 

もう一つ大きな問題が「仲介者(支援者)」です。中小企業のM&Aの成功には「買い手」と「売り手」の間に、よい協調信頼関係をつくる「仲介者(支援者)」がどうしても必要です。大手企業や大都市の中小企業では専門の仲介機関に力を借りることもあります。但し、結構な仲介手数料がかかります。

 

したがって、山口県のような地域では、金融機関に期待される役割がたいへんに大きくなります。しかし、現状では十分な理解をして効果的な仲介(支援)には至っていないようです。

 

M&Aは、様々な目的に活用できます。中小企業にとっても企業価値を高める有効な手段です。地域にとっても経済の発展や雇用の確保につながります。金融機関によっても業績の向上になります。早くハードルを下げて、山口県に活発なM&A市場を形成していくことは重要です。