経営心得帳(松下幸之助)

松下幸之助の本はたくさんありますが、1971年(ときに76歳)に出版された冊子です。

 

この本の最後の章が「新入社員でも」という題になっています。

 

要約すると・・

会社の規模が大きくなると組織が硬直化してくる。平社員は主任に、主任は課長に、課長は部長に、部長は社長にものが言えなくなる。こういう現象は厳に防がなければならない。新入社員でも社長にものが言えるという気風をつくり、これを保持することが必要だ。

部下から無限に提案される英知から新しいものを生み出して、会社は大きく発展する。「命これにしたがう」という姿では、いかに多くの人材を擁しても会社は発展することは無い。

 

よく言われていることで、多くの経営者は自分も同感だ。そのように心掛けている。と応えると思います。ただ、なかなか難しいのです。

 

どうしても、自分が次の「凄い業績を残した社長」になりたいのです。

以前に「凄い業績を残した社長」のことをよく知っていて、その人が実は大したことはないということも知っていて、あれくらいなら自分もできると自惚れていて、”こうしたらうまくいく”と分かっているので、もちろん「凄い業績を残した社長」になれるはずです。

凄い社長は命令をしなければなりませんから、部下の言うことなんか聞かなくてよいのです。

 

”こうしたらうまくいく”と考えているときは、”失敗するとたいへんなことになる”とは考えられないものです。

「はだかの王様」になりたくなければ、できるだけ若い方や会社で”重要でないと思われている仕事をしている人”の意見に耳を傾けることです。

 

ところで、日本のベストセラー1位は「窓際のトットちゃん(黒柳徹子)」の580万部で、2位が「道をひらく(松下幸之助)」の520万部なんだそうです。

「道をひらく」は、今でも年間10万部以上が売れているので、6~7年するとトットちゃんを逆転しそうなんだとか。