国会中継ラジオ・・同じことばの繰り返し

移動中にラジオで国会中継で安保法案についての審議をしていましたが、与野党とも、お互いにはっきり言えない事情があって、同じ言葉の繰り返しです。

 

近い将来(来年かも知れないし、50年後かも知れない)に国民に直接的な被害が出るような紛争が起こる可能性についての議論ができません。今日の審議で出ていた”A国”が力による現状変更を企画していることは明確ですし、それを実現させる行動を近いうちに加速しそうだということは与野党ともに知っています。

しかし、そう言ってしまうと、それを理由に行動の機会を与えるのでお互いに言えません。

 

「A国が攻撃をする意図が明確であるが未だ日本に直接的な被害が無い段階で自衛の行動を取ることができるのか」という質問をしていました。この段階では自衛に当たらないという意味です。

核を搭載したミサイルが日本の都市に着弾して(国民に多くの死者が出て)からでなければ、自衛の行動を取れないというのではまずいです。しかし、それができると言ってしまうと憲法違反になりますから、お互いに言えません。

 

したがって、政府側は「国の存立を脅かされることが明白な事態・・・」ではじまる、よく覚えられるものだという長いフレーズを何回も繰り返すしかありません。野党側は、国の安全についての議論は避けて、「憲法の権威が憲法の規定に違反すると言っている。」と非難するしかありません。

自民党議員の問題発言もありましたので、質問も答弁も言葉を選んで慎重に、一言一句間違えずに同じ言葉を繰り返しています。

 

本当は、危険レベルが相応に高まっている現状で、国民の安全や財産を守るためにはどうすればよいのかという議論があるべきですが、そんなことを世界中に公開している場でできるわけもありません。これは議会制民主主義の難しいところです。

自宅に帰ったときにちょっとテレビを付けてみました。ほんの数分なので、誰とは確認できませんが、あくびをかみ殺していたり、横を向いて目をつむったりしている議員さんが見えました。

なかなか厳しい仕事だと思います。

 

不謹慎ですが「戦争の経済学」「事業としての戦争」といった研究がされています。

国が戦争をどういうときに起こすかを、経済あるいは事業の観点から簡単に言えば

1)その国のGDPが後退あるいは停滞している

2)その国から離れたところでの戦争で、本土に被害が及ばないと想定できる

3)必要な戦費を既に保有しているか、調達できると想定できる

4)必要な人員・兵器・燃料などが確保できると見込める(転用を含む)

の4条件が揃ったときだそうです。

 

この4条件が揃っている場合は、当事国の経済は戦争によって発展します。

逆に、この4条件が揃ったと誤解して戦争を始めた国の経済は崩壊します。

人間の生命は経済や事業とは関係なく尊重されなくてはなりません。しかし、そうは考えていない国や組織が存在していることは事実です。恐ろしいことです。