Pepperと成長戦略とロボット三原則

ソフトバンクの人型パーソナルロボット「ペッパー」は、1分間で予定の1000台を完売しました。

 

ペッパーの本体価格が198,000円という低価格だということは知られていたので、一般発売で購入を検討した方は多かったようです。しかし、情報処理をクラウド上でおこなうための基本パックの利用料金が毎月14,800円、保険料金が毎月9,800円かかるので、初期3年間の総額が110万円くらいになるので個人で買うのはちょっと厳しめです。法人が集客や宣伝用に購入されたケースが多いのではないかと思います。

 

ロボットと言えば、政府がまとめた「日本再興戦略」の素案にも大きく取り上げられています。この素案の中心は「生産性革命の実現」ということで、ロボットをはじめとしたあらゆるモノをインターネットにつなぐ”IoT”(インターネット・オブ・シングス)とビッグデータの活用です。

 

IoTは、ものづくりをする全ての製造業・建設業は考慮しなければなりません。製品や部品、建物や構築物などで、インターネットに接続できないモノは今後は認められないようになってきます。

製造用はともかく、建設業は関係ないなんてこともありません。既にビル管理は全てIT化されていますし、土木の世界でもICタグを橋脚などのコンクリートに埋め込むことも増えています。

 

ロボットに使われるメカトロ技術は今後も急速に発展していくことが確実です。人間と同じような複雑な動きを人間以上に滑らかに力強くおこなうことは、既に見えている未来です。更に、人間には絶対に出来ないことを自律的にできるロボットもどんどん開発されます。

数万円で購入できるドローンでも、自分で位置・高度・姿勢などを把握して、自律で目標まで飛翔して、撮影などの仕事をこなして(通常は)安全に戻ってきます。

 

 

ロボット技術の進歩は素晴らしいのですが、ロボットに支配されるような不安を感じさせます。その不安は、ロボットがクラウド上のビッグデータにアクセスすることで、獲得している情報の量や質で圧倒的に優位であることから生じます。

 

既に、何をするにも、何を決めるにも、スマホの情報に頼る人々が増えています。食事をするのも、洋服を着るのも、道を歩くのも、スマホ頼みだと、スマホに支配され、その命令で生きているようなものです。 

 

アメリカのSF作家アシモフが、1950年に「われはロボット」という短編集で示した「アシモフのロボット三原則」があります。

第一原則 ロボットは人間に危害を加えてはならない。

第二原則 ロボットは第一原則に反しない限り、人間に服従しなければならない。

第三原則 ロボットは第一原則と第二原則に抵触しない範囲で、自分を守る。

この3原則は2058年に制定されるのですが、それまで待っていてよいものだろうか?とちょっと心配です。