縄文土器は世界最古の土器のひとつです

 日本のものづくりのルーツは縄文土器に遡ると言われます。


表面に器面を平にするため縄をころがしてつくった縄文と呼ばれる文様をもつので縄文土器と言われます。縄文土器が作られていた時代を縄文時代といい、約1万年前からはじまりました。同時に、このころから、それまでの打製石器に加えて磨製石器が使われるようになりましたので、新石器時代とも言われます。

 

実は、草創期の縄文土器は現在発見されている世界でもっとも古い土器の一つです。また、縄文土器の多くは深鉢ですが、浅鉢・台付き鉢・注口土器、さらには火焔土器と呼ばれる複雑な装飾を施したものまで多くの種類があります。

このうち、火焔土器はとても素晴らしいものです。約4500年前に作られていましたが、非常に精緻で複雑で高い装飾性は驚きです。

 

 

縄文時代が始まる約1万年前というのは、地質時代の区分では更新世から完新世に時代が移り変わる時期にあたります。更新世は約260万年前からはじまって、1万年前に終わりました。この更新世の時代は氷河時代に当たり、約2万年前にピークを迎えた最終氷期が終わったのが約1万年前というわけです。(簡単に言えば、約2万年前に寒冷のピークがあり、徐々に温暖化していって1万年前くらいから安定しました。現在の気候と1万年前の気候は概ね同じようなものです。)

 

2万年前は今より7~8度気温が低く寒冷で海水面が低かったので、日本列島と大陸は完全に地続きでした。シベリアから樺太経由でマンモスが、東南アジアから南西諸島経由でナウマンゾウが歩いてやってきていました。人々は旧石器を使って、これらの大型動物の狩猟をしていた時代です。

1万年前には海面が上昇して、日本列島は大陸と徐々に切り離されてきたところです。ちなみに、本州と四国の間に瀬戸内海が表れて切り離されたのは約8500年前だそうです。

こうして、日本列島が形成され、温暖になったことで、原始農耕がはじまり人々の生活が安定してきたわけです。

 

ちょっと余談になりましたが、縄文土器は北方から来た技術と南方から来た技術が日本で融合して生まれました。日本のものづくりは、そのスタートから海外からの技術を導入し、それを融合させ、更に技術革新を繰り返すによって育まれていったのです。