(問題)それまでの鉄道にはあって新幹線に無いモノは?

(解答) 新幹線は、世界で初めての信号機の無い鉄道です。

 

JR東海などは、新幹線を海外の高速鉄道として売り込みを図って、中国などと激しく競っています。昭和39年(1964年)に開業して半世紀以上、日本の新幹線は世界のトップを走っています。新幹線の”はじめて”を振り返ってみます。

 

新幹線は世界で初めての高速鉄道ですが、特急列車だけが走る専用の線路を敷設しました。できるだけ、真っ直ぐで踏切も無い線路を数百キロに渡って建設するという発想が物凄く斬新です。そして、CTCやATCといった列車制御をおこなうことで線路には信号がありません。当初はひかりとこだまだけとは言え、非常な高密度運行をするのに信号機はいらないと考えたのも驚きです。世界で二番目の高速鉄道はフランスのTGVですが、開業には新幹線から18年が必要でした。 

 

車両の側では、高速列車に動力分散方式を採用したことが上げられます。欧州の高速鉄道は電気機関車が牽引する方式でしたが、動力分散方式のほうが加減速が短時間でおこなえることや、何よりどっちの方向にも走れるので折り返し運転が容易です。短時間で効率的な車内清掃が話題になりますが、電気機関車を付け替えていたらそんなに早くは折り返せません。

欧州で最初に分散方式に切り替えたのは、ドイツのICEですが新幹線から27年後でした。

 

高速鉄道は世界に拡がっていきます。一件の重大事故も起こすことなく半世紀以上の運行をしている新幹線の信頼は揺るぎありません。

 

さて、数年前に台湾の新幹線に乗りましたが、車両も運行システムも新幹線そのものです。

台湾は経済や気象、地形など、日本とよく似た条件で新幹線がそのまま輸出できましたが、外国ではそれぞれに考え方が違う場合もあります。

 

例えば、新幹線の車体は海外のモノと比較してかなり軽量です。世界一高速であり、世界一省エネルギーであり、世界一1編成が長い(16両)という、特徴があります。但し、この車両の運行には、それをサポートする安全システムや技術技能、さらに究極では安全の風土が必要です。したがって、もっと重くて頑丈な車体をエネルギーを使ってでも走らせたいと望む国もあります。品質は高ければよいというわけでもないのが、難しいところです。