コオリウオから教えられた技術・・不凍タンパク質

不凍タンパク質を加えるだけで冷凍保存後も作りたての食感になる餅のお話。

 

明石家さんまの「ホンマでっか!?TV」で紹介されていました。関西大学の河原先生のお話です。

【要旨】

冷凍保存後も解凍すれば作りたての食感になる餅がある。普通、餅を冷凍すると中の水分が凍って餅の組織が破壊されるのだが、その組織を破壊せずに冷凍できる不凍タンパク質を使っている。

南極の海で水温がマイナスになっても魚は凍らないのは不凍タンパク質が働いているから。河原先生はこの不凍タンパク質をカイワレ大根から抽出している。

 

このお話は面白いので、ちょっと追記します。(例によって、大雑把な話です)

 

この不凍タンパク質は、お餅だけでなく、溶けにくいアイスクリームやヨーグルトなどにも使われています。食品に使えるのは、無害で安全だからです。

 

 

液体を冷やしていくと固体になります。真水が固体(氷)になる温度は0℃です。これを水の凝固点と言います。塩水が固体になる温度は0℃より下で、塩分濃度が高くなるほど凝固点の温度は低くなります。これが凝固点降下です。

 

南極や北極の海水の温度は0℃より低くて、-2℃とかになります。この海にも魚が住んでいます。例えば、南極のコオリウオの仲間や、北極のホッキョクタラの仲間です。

血液の塩分濃度は海水より薄いので、何もしないと血液が凍って死んでしまいます。

そこで、コオリウオなどは血液を不凍液にするタンパク質を自分で合成するように進化しました。1000万年ほど前のことです。

同じたんぱく質は、寒冷地の昆虫や植物からも見つかっています。(カイワレ大根のことは初耳でした。)

 

このように、人は地球上の生物からいろいろと有用な知恵を授かって発展しています。

地球温暖化は、冷たい海に生きる魚たちの環境も変えていっています。これ以外にも人の活動(海洋汚染を含め)で破壊されている生物多様性を維持していくことは、次世代のためにも重要です。

 

ところで、一般に不凍液と言えば自動車のラジエーターに使うものを思い出しますが、エチレングリコールを使っています。エチレングリコールは、これから夏になって使うことの多いアイスパックなどにも使われることがあります。甘い香りがしますが、こちらには毒性があります。愛犬などがかじって舐めて死んでしまう例があります。注意が必要です。