竹が林を侵食していくのが気になります

 山陽自動車道を走って近くの里山(雑木林)を眺めてみてください。竹がすごく増えていることに気づくと思います。


山陽道沿いなど、陽当たりのよい里山では、ゴールデンウィークの時期は新緑が美しいうえに、コナラやアラカシなどが花をつけるので、深緑、淡緑、花の薄黄色というコントラストが楽しめます。

 

その里山の雑木林を眺めてみると、ほとんどの林から、ピン・ピンと竹が真っ直ぐに突き出ているのが見られます。竹が雑木林をどんどん浸食していっています。

 

竹の特徴は、成長が非常に速いことです。1か月で5メートル伸びることもありますし、成熟するのに5年くらいしかかかりません。また、温暖な山陽地域では一年中成長します。地下茎でつながっていくので、仮に枯れたり折れたりしても、もう一度生えてきます。

 

このために竹が一旦雑木林に育ちはじめると、樹木の背丈をあっという間に追い越してしまって、樹木を枯死させて、いつのまにか竹林に代えてしまうことがよくあります。

 

 

竹が増えていることの問題は、大きくは二つあります。(他にもありますが・・)

一つは生態系の多様性が失われてしまうことです。里山にもともと棲んでいた生物は、竹林では棲みにくくなります。例えば、コナラのドングリを食べていたノネズミやカケスは、竹林では食べるものがありません。

 

もう一つは土砂崩壊の危険の問題です。竹は地中の浅い位置に地下茎を張り巡らせますから、その下は空洞になっています。竹林は保水能力があまり期待できず、大雨が降ると、竹林ごと山が崩壊する事例が増えています。とても危険です。

 

竹はタケノコとして食べることもできますし、竹細工や竹炭などで使用されることもあります。さらに、竹の繊維や粉末は樹脂複合材料用途などとして非常に注目されています。

竹は切っても切っても生えてきますし、成長も早いので上手く使えば価値のある材料です。

 

現在、多くの竹が放置されているのはいくつかの理由があります。すぐに気づくのは、竹がカサ高くて取り扱いしにくいことです。それ以上に大きい理由は、竹林の大半は私有地であり、区画が狭くてまとめられないことにあります。

 

里山の生物多様性を守る。竹を低炭素資源として活用する。豪雨災害に備える。という3つの側面から竹について考えてみたいものです。