工場(クリーンルーム)の入り口にある粘着マットを観察する

 工場内を清潔に保つために、出入り口に粘着マットを敷くことがよくあります。


 足ふきマットが粘着シートになっているイメージです。

 クリーンルームの場合は前室(更衣室)でクリーンブーツに履き替えた後で粘着シートのうえで靴底の汚れを捕るので粘着シートはほとんど汚れません。しかし、一般の工場では外履きの靴のままで粘着シートに載ることもあります。そうすると粘着シートは汚れていしまいます。

 普通は、シートが30枚とか60枚とか積層されていて数千円で購入できます。シート1枚が200円くらいで比較的安いので、汚れが酷くなったり、粘着力が弱くなったりすると、かなり頻繁に交換します。汚れたままだと、工場長に叱られます。


 普通は、交換した粘着シートをそのまま丸めて捨てるのですが、その工場では観察するのだそうです。そうすると、外から入る足跡だけでなく、内から外に出る足跡が残っていることがあります。つまり、工場のなかで発生したゴミやホコリが粘着シートで捕捉されているということです。

 粉末の製品であれば漏れやコボレであったり、もしかしたら機械の摩耗や、持ち込んだ備品の擦れから出た異物だったりします。異常の早期発見に役立つのだそうです。


 こういう発想の転換はとても役に立ちます。工場のなかには、本来の用途以外の情報を提供してくれる、役立つものがたくさんありそうです。