自然のなかにあるリスク 例えば放射線・例えば食品

火力発電所のほうが、原子力発電所より放散している放射線レベルが高いというコメントがありました。

 

石炭や石油のなかに放射性物質が含まれているという意味です。同じような議論で、自然界にある放射線レベルと比較するという議論もありました。例えば、飛行機に一回乗って被曝する量と比較することなどです。「自然=安全」という考えに根拠が無いということですが、極端に走らないほうがよいと思います。

 

1995年に東大の先生が発表した日本における化学物質のリスクランキングというが手元にあります。単位は損失余命(日)です。

1位は喫煙 370日。 2位は受動喫煙 120日。

・・ 家族のためにもタバコは止めたほうがよいです。

3位はディーゼル粒子 14日。

・・ その後、規制が強化されました。今時点では、順位が下がっているかも知れません。

4位はラドン 9.9日。

・・ 自然界の放射性物質です。喫煙と同じく主に肺がんのリスクがあります。

5位以下は、ホルムアルデヒド(シックハウス症候群ですね。)、ダイオキシン、と続きます。

 

自然界にあっても、人工的なものであっても、放射線はリスクがあります。放射能が注目されている機会ですから自然放射能の防御技術の開発を進めていくことはビジネスチャンスになるかも知れません。

 

同じようなことは、自然食品とか無農薬栽培にも言えます。自然界の野菜(植物)も、害虫から自分の身を守るために多くの毒物(神経毒です)を合成します。これを自然農薬と言います。人間が摂取する農薬の大半は合成農薬ではなく自然農薬です。

自然農薬にも発がん性などリスクがありますから、合成農薬で虫を駆除して野菜が自然農薬を過剰につくらないようにすると、実は食品安全は高まります。「無農薬=安全」ではありません。

 

ところが、ラドンには血行や新陳代謝を促進して健康に良いという面があります(ラドン温泉です)。同じように、自然農薬をつくるような野菜は、同時にビタミンなど抗がん作用がある成分もたくさん作り出します。

何にせよ、バランスが大切です。リスクだけを取り上げるのではなく、便益も考慮します。どんな生活をしようとも、リスクはなくなりませんので、うまく付き合っていくことです。