エコロジカル・フットプリント ・・ 地球がいくつ必要ですか?

フットプリントは「足跡」あるいは「専有する面積」という意味です。

 

エコロジカル・フットプリント(EF)は、人々が求める製品やサービスを提供するために必要な土地の面積のことで、グローバルヘクタール(gha)という単位で表します。

 

例えば、カツ丼を1杯食べるとしますと、お米やたまねぎを作る田んぼや畑が必要です。豚肉や卵を作るのには牧草地が必要です。加熱すると炭酸ガスが発生しますから、それを吸収するための森林も必要です。計算は簡易的な方法が提案されているのですが、要するに私たちが生活をするには地球上に占有する面積があるということです。これがEFです。

 

一方で土地によって生産性が異なります。また、田んぼや畑の生産性は年々向上して、一定の面積で収穫できるお米や野菜の量は技術革新によって増加します。つまり、地球の面積は増加しませんがグローバルヘクタールは増加します。これを総生物生産力(BC)と言います。

 

地理的には地球の表面積は510億ha(陸地は150億ha)ですが、BCで換算すると2010年現在で120億ghaになります。農耕地や森林の1haはBCでは2.2ghaくらいありますが、砂漠のBCは小さいですし、海洋でも沿海地域の漁場と大洋の中心では異なります。

このBCは1961年には99億ghaでしたので、50年間で約20%増加しています。

 

一方のEFは、1961年に76億ghaであったものが、2010年現在は181億ghaと計算されています。つまり、この50年間にEFは2.4倍に増加しており、EF÷BC=181÷120=1.5ですから、今の生活を維持するには地球が1.5個必要であるということになります。

 

最大の原因は、1961年に31億人だった世界人口が2010年には69億人に増加したことにあります。次の50年では世界人口は100億人を超えると予想されていますので、地球の持続可能性のためには何らかの対策が必要です。

 

人口の増加に伴って、一人が利用できる面積は下がっていきます。

1961年には99億gha÷31億人=3.2ghaだったものが、2010年は1.7ghaです。今後の50年間の技術革新でBCが更に20%向上したとしても、2060年は1.4ghaになります。

 

日本人一人当たりのEFは先進国では最低レベルですが、それでも4.2ghaあります。豊かな自然と優しい心に卓越した技術力も持つ日本にしかできないことはたくさんあります。