築土構木のこころ

 ある土木会社さんのお話です。よい仕事ができるのには理由があります。

 

 昨日、現場調査に行った先で美化活動をしている建設設計会社さんのお話をしました。その連想で、紹介したい会社さんがあります。


 今の社長さんのお父様が創業された土木会社です。二代目の社長さんは60歳代、専務の息子さんは30歳代です。技術のしっかりした地元で信頼されている会社さんです。創業以来、一度の事故も起こしたことが無いのが誇りです。


 田舎では、路傍には道祖神、山には山の神、田には田の神、いたるところに小さな祠や地蔵菩薩などの仏像があります。この会社の皆さんは、工事の現場に行った際に近くに祠や仏像を見つけると、さっと廻りを掃除して、僅かな供物を捧げるそうです。ほんの数分間、百円に満たないようなお供えでも、神様は守ってくださいます。もちろん、仕事に取り掛かる前にほんの少し気持ちの切り替えがよい仕事と安全な作業につながっているのだと思います。


 土木という言葉は、中国の古典「淮南子」のなかにある「築土構木」が語源です。湿地の穴倉に暮らしていた人々を、聖人が土を盛り木材を組んで住まいをつくることで、安心して生活できるようにする。とあります。

 古来、土木という行為は公に資する徳の高い聖人の行いでありました。今も、多くの土木会社や土木に携わる人々は志高く、仕事に取り組んでいます。