10年以上前に市場や経営を支配する「3の法則」というのが流行りました。
老子は、「三は万物を生じる」と言っています。古来、三と言う数字は無限に通じる縁起のよいものです。今の時期ですと、忘年会を三本締めとか万歳三唱とかでお開きにされるかと思います。
さてビジネスにおける「3の法則」は・・
「自由な競争市場ではフルライン・ゼネラリストは3社になる。」というものです。
(2社でも4社でもなく、3社が安定する。)
競争市場では自然淘汰が進んでいくので、その業界での大手企業の数は廃業、合併、吸収などで徐々に減っていきます。そして、3社になった時点でそれ以下にはならない。万が一、2社になるとつぶし合いや談合などで結局は1社と同じことになって、競争市場そのものが成り立たなくなる。
つまり、健全な競争市場とは、大手「フルライン」3社と、それ以外の複数の「スペシャリスト」企業で構成される。という法則です。
携帯電話市場は、ドコモ・au・ソフトバンクの「フルライン」3社とPHSのY!モバイルや格安スマホで参入する複数の「スペシャリスト」という構成になりそうです。
鉄鋼業界も新日鉄住金の誕生で、JFE、神鋼との大手3社体制となり、日立、大同、愛知と言った特殊鋼メーカーなどが続くという構成です。
自動車市場は、トヨタ・日産・本田の大手3社に、スポーティー車に特化したマツダ、軽のスズキ、人気車を輩出するスバルといった構成です。
そこで中小企業が目指す「スペシャリスト」。その成功のカギは次の3つと言われます。
1.専門分野をいじらず、専門分野から決して離れない。ターゲット・マーケティング。
2.ターゲット顧客に限定した、きめ細やかなサービス、満足度の高いサービス。
3.成長をコントロールして、特に固定費を増やさないこと。
株式会社村上開明堂は、東証2部上場の立派な大企業ですが、スタートは明治15年創業の静岡にある家具用のブリキ細工の会社です。鉄道が開通してカンテラ(ブリキの箱のなかに鏡を入れたもの)づくりをはじめたことで、鏡との関わりが生まれました。
現在、自動車用バックミラーで国内シェア40%、世界シェア10%を誇ります。会社業績もまばゆいばかりですが、上の成功のカギを守って成長しているように思います。
これからクルマが電気自動車になろうと、自動運転になろうと、仮にバックモニターが標準搭載されたとしても、バックミラーが無くなることはちょっと考えられません。