災害の時に凍り付かない ~ 訓練は事前命令

災害が起こったときに「パニック」になる人は意外に少なくて全体の15%。「凍り付いて何もしない」人が全体の75%だそうです。

 

東日本大震災のときに監視カメラが撮った映像がたくさん公開されています。(注:中には酷いものもあるので、You Tube でなく公的機関の映像がよい。)どの映像でも共通しているのは、身体が動いていないことです。

 

揺れが始まると、きょろきょろ廻りを見回しますが、じっとしています。大きく揺れると立っていられなくてしゃがんだり、柱に掴ったりしますが、意外なほどに何も行動を起こすことはありません。

この後どうなるかを知っているので、映像の中の人に「早く動け!」と声を掛けたい気分になります。

 

思い起こすと、そのときに私は東京に居ましたが全く同じでした。東京のほうが震源から遠いので行動を起こす余裕はあったのですが、殆どの人は天井を見つめていただけでした。

 

アメリカの同時多発テロのとき崩壊したビルから無事に避難できた人を調査した結果でも、衝突から避難開始までの平均時間はなんと6分だそうです。多くの人が不思議なほど焦りの気持ちは湧かなかったと言っています。もう少し早く行動を開始していたら、同僚や友人を失わずにすんだと後悔をしている人がたくさんいます。

 

 

クマの出会ったら死んだふりをすればよいという話があって、実はこれは人間の本能だという人がいます。肉食動物は草食動物を捕食するときに、病気に感染している草食動物を食べるとリスクがあるので一般に元気な獲物を狙います。(ハイエナやハゲタカは例外。)

 

このため、死んだふりや緩慢な動作で病気を装うのが草食動物の本能として刷り込まれているという説明です。俄かには信じられない説ですが、パニックになるよりはましだと、人の防衛本能として災害に当たって凍り付くようになっているのかも知れません。

 

しかし、行動を起こさないといけません。地震の揺れを感じたら、「転倒や落下の危険が無くて、閉じ込めらないところに移動する。」ということは実践したいと思います。

 

会社や工場で、消防防災訓練をするときに「訓練とは事前命令だ」と言っています。災害が起こったときに、指揮者がやって来ることはできないので、そのときに全員がやらなければならない役割を予め命令しているという意味です。

 

真剣に実践的な訓練をしたことが前提ですが、現実の災害では、最初に動き出す「きっかけ」がなければ命令は実行されないかも知れません。そこに居合わせた誰かが「かかれ!」の号令を掛けてスイッチを入れることが重要です。