環境経済学 ・・ 環境クズネッツ曲線

環境クズネッツ曲線とは、経済成長と環境汚染には逆U字型の関係があるというもの。

環境クズネッツ曲線(平均所得と二酸化硫黄排出量)
環境クズネッツ曲線(平均所得と二酸化硫黄排出量)

クズネッツの仮説は、二酸化硫黄にように直接に健康被害がおこるような環境汚染の場合は、よく当てはまります。

発展途上で国民生活に経済成長が必要な国では、環境対策が後廻しになるが、豊かさがあるレベルに達すると生活環境の向上を目指すようになるということです。

 

本来の企業とは、収益を求め、永く継続することを望む存在です。利益が出たから、環境対策に舵を切って「社会的責任」を果たすという綺麗ごとを考えません。

環境問題に対処することが、企業のプラスの収益につながり、マイナスのリスク(損失)を減らすことにつながり、継続に寄与すると考えるから実行します。つまり、消費者(国民)の信任が企業の継続に必須であるから努力をします。

 

右の図は分かりやすいように人口の多い30か国だけをプロットしました。クズネッツ曲線から外れる国が3つあります。南アフリカとアメリカ・中国です。

これらの国では、企業の継続が消費者(国民)の信任以外の要素で決まるのだと思います。

 

APECの日中首脳会談に関連して、日中の関係改善や民間交流を、経済発展や環境技術の面で中国も望んでいるという解説記事を読みました。これは、明らかに誤っています。中国は既に世界最先端の環境技術や特許を保有しており、経済的にもそれを実行する力量を完全に備えています。同様にアメリカが環境保全対策を実行することは当然に可能です。

 

現時点で、それが出来ていないのは政府や企業にやる気が無い(動機づけできない)からです。その点で、実はアメリカと中国は、ぐるっと回って似通っています。

二つの超大国で、消費者(国民)が率直に不満を言える状況となり、その信任を得られない企業が淘汰されるようになれば、地球環境の保全は進んでいくと思います。