船舶バラスト水管理規制条約に日本が加入

舶のバランスを取る「おもし」であるバラスト水(海水)には、積み込んだ場所の生物が含まれています。この生物が、排出した場所の環境に被害を与えるのを防止するための条約です。

 

日本は、10月10日にバラスト水管理条約に加入しました。

 

この条約は、国際海事機関で2004年に採択されたもので、ようやく日本も加入したというのが実感です。

この条約は、締結国で世界の商戦船腹量35%以上になって発効しますが、日本(世界の1.2%)の加入後によって32%を超えて、もう一歩というところに来ました。

 

実は国際航路の商船は、国籍が実際の所有者と異なるという問題があります。

船腹量の多い国では、リベリア(世界の12%)やマーシャル(9%)が加入していますが、世界一のパナマ(21%)や中国・香港(13%)などが未加入です。

 

 

バラスト水による環境被害は、多くの国で実感しているところです。

環境省が指定している、要注意外来生物種リストでも、無脊椎動物の過半数はバラスト水によって日本にやってきています。

 

侵略的な貝として有名なムラサキイガイ(ムール貝)なども、バラスト水に混ざって神戸港にやってきた幼生が育ったものです。食べても美味しいのでいいじゃないかという話もありますが、とても強い貝で、広島湾で大発生して牡蠣養殖に大被害を与えたこともあります。

 

バラスト水処理にはコストがかかりますので、経済的には誰しも避けておきたいところです。

一方で、これは小規模で、且つ高速な排水処理装置を、船あるいは港湾に設置するということです。

 

この技術、商品力では、日本が世界の圧倒的なトップランナーです。環境ビジネスに関わる業界では、この条約が発効することに期待しています。