モスクワでの大規模テロ。ISにロシアから人材流入の皮肉

モスクワ郊外のコンサート会場でテロ事件が発生して、133人が死亡した。

 

テロを起こしたのはIS(俗にイスラム国)の4人乃至6人のメンバーのようです。ロックコンサートに集まった観客に銃撃したうえで、会場に放火をしました。犯人たちはロシア当局に拘束されたということです。プーチン大統領は、このテロ事件をISが犯行声明を出しているのにも関わらず、ウクライナの仕業だと頓珍漢なことを言っています。

 

モスクワ コンサートホール テロ追悼
モスクワ コンサートホール テロ追悼

ラマダン月(今年は3月11日から4月12日)には、テロの脅威が高まる傾向があることが知られています。今年は、特にハマスとイスラエルの紛争が続いていることから、リスクが高いと言われていました。

 

モスクワのアメリカ大使館から、ロシア国内に滞在しているアメリカ人に対して、コンサートなど多数の人が集まる場所に行くことへの注意喚起をしていたそうです。 

 

ISの活動は停滞してきていました。

ISの指導者アブ・ウマル・アル・バグダディ(2010年にイラクでアメリカとイラクの合同軍によって殺害された)の下で、アルカイダのウサーマ・ビン・ラディン(2011年にパキスタンでアメリカ特殊部隊によって殺害された)との連絡役だったアブ・バクル・アル・バグダディがISの初代カリフとなりました。

 

2019年10月に初代カリフのバグダディはシリアでアメリカ特殊部隊によって殺害されます。その後、第2代カリフは2022年2月に、第3代カリフは同年10月に殺害されています。

昨年(2023年)4月には、第4代カリフがシリアで殺害されており、現在は第5代カリフが5千人から1万人といわれるISのテロリストを率いているようです。

 

第5代カリフが、どのような人物なのかは不明です。普通に考えれば、4年余りの間に最高指導者が続けて排除されてきたわけですが、ISの活動は細ってしまうはずです。

 

ところが、皮肉なことにロシアがISへの人材供給源になってきたことで勢力を維持しているようです。ヨーロッパロシアに住んでいる中央アジア出身のイスラム教徒の労働者が、ウクライナ紛争の影響もあって処遇が悪化してしまい、国外に出てISに参加しているということです。

プーチンの内憂外患の苦悩は続きそうですが、民間人を標的にしたテロ行為はいただけません。