賃上げが景気浮揚につながらない懸念~マネーストック統計から~

日経新聞「マネーストック、M3は前年比1.8%増 伸び率は変わらず=日銀」です。

 

「M2は2.5%増の1238.9兆円。残高は4カ月ぶりに前月を下回った。M2の残高は前月に過去最高を更新していた」ともあります。ここで、マネーストックは「経済に供給されているマネーの総量」のこと。M1は現預金。M2はM1+国内銀行からの貸出。M3は+海外銀行からの貸出。国内の景気動向にはM2がわかりやすいようです。

 

日銀のWebサイトでグラフをつくってみました。

緑色がマネーストック(M2)の総額です。2024年2月時点で1239兆円です。10年前の2014年2月は861兆円でしたから、378兆円(44%)増加しています。

 

マネー辞典には、「銀行が積極的に貸出しを行うとマネーストックは増加し、世の中に出回っている通貨量が増える事を意味する。一般的には、景気が良くなる方向にある。ただし、増えすぎると物価が上昇(インフレ傾向に)なってくる。逆に、銀行の貸出しが減るとマネーストックは減少し、世の中に出回っている通貨量が減ることを意味する。一般的には、景気が停滞する方向にある。」とあります。

 

日銀マネーストック
日銀マネーストック

アベノミクスの異次元の金融緩和策によって、安倍政権下ではマネーストックを前年比3~4%増やし続けました。

 

さらに、新型コロナ感染症対策で2020年後半には、中小企業向けのゼロゼロ融資など歴史的なマネー供給の増加政策と行動制限によるマネー需要の縮小がありました。結果としてマネーストックが大きく伸びました。

 

現在は、コロナ禍からの脱却はほぼ完全な状況です。本来であれば、一時的なマネー過剰供給の回収(ゼロゼロ融資の余剰分の返還など)があって当然です。実際に、米国や欧州の主要国ではマネーサプライの減少がみられます。

 

しかし、日本は未だその段階にはないようです。

マネーストックの増加は、名目GDPの増加と本来は連動するはずです。しかし、2013年と2023年の名目GDPをみると513兆円から598兆円に85兆円(17%)の増加にとどまっています。マネーストックの44%増加との乖離が問題です。

 

つまり増加したマネーが投資に向かわず、貯蓄や内部留保に回っていたというわけです。

 

現今の話題は、「異次元の?賃上げ」に移ってきました。問題は、労働者が賃上げによって増えた手取りマネーを、貯蓄や住宅ローンの返済などに回さないで、消費してくれるのかということです。

テレビや新聞での、岸田さんの苦しそうな顔を見るたびに、ちょっと不安になります。