桃と蛇の節句に繁栄を願う

今日はひな祭り。五節句のなかで「上巳の節句」といわれます。

 

上巳は月の上旬にある巳(み:へび)の日という意味です。古代では三月上巳の日に節会をおこなっていたので、必ずしも三月三日と決まっていたわけではありません。今日3月3日は寅の日で、3月上旬の巳の日は6日になります。もっとも。これは新暦のことなので、旧暦では今年の三月三日は4月11日になります。今年は、たまたま巳の日です。

 

大内人形のお雛様
大内人形のお雛様

旧暦と新暦では、ときどき混乱します。上巳の節句は、桃の節句ともいいます。

温暖化で開花が早まったといっても、新暦の3月3日では桃の花は未だ開いていません。もう1ケ月くらい後のほうがしっくりします。

 

暦(旧暦:太陰暦)が中国で使われはじめたのが殷の時代で、今から3500年くらい前のことです。十干十二支も殷の時代には発明されています。

上巳習俗というのは3000年くらい前の中国・周の時代からおこなわれていたようです。

春が到来したこの時期に、災厄を祓うために、男女が川で禊(みそぎ)をする風習です。

 

旧暦の3月上旬は、中国中央部でも蛇が活動期に入ります。毒がある蛇もいるので、ちょっと蛇は嫌われものです。災厄の源と思われていたのかもしれません。一方で、蛇は多産多子で子孫繁栄の象徴としても知られていました。忌み嫌われていただけなら、十二支に選ばれません。このあたりが、上巳習俗が確立された理由のようです。

 

ただ、毎年節句の日が変わるのも不便だったので、3月3日に固定されたようです。2000年以上も前のことですが、いまでも上巳の節句という名前が残っています。