教科書対話で相互理解と和解へ~イスラエルとパレスチナ

イスラエルに対するハマスのテロ攻撃からはじまった争いは、中東から世界を巻き込んだ大きな事件に発展してしまいました。

 

ユダヤ教とイスラム教の争いは複雑です。もともとは、イスラム教徒はユダヤ教徒に寛容だったのですが、ユダヤ教徒を排斥しようとしたヨーロッパのキリスト教徒がパレスチナに追い込みました。シオニズム運動の背景ですが、結果としてユダヤ教徒とイスラム教徒(どちらも狂信的な一部の勢力ですが)の抜き差しならない争いが100年続いています。

 

イスラエル・パレスチナの共通歴史教材
イスラエル・パレスチナの共通歴史教材

7世紀にムハンマドがイスラム教を創始して以来1300年間は、イスラム教とユダヤ教は概ね共存共栄してきました。

改めて、双方がそれぞれの歴史を学ぶことで、和解できるのではないかと思われます。その活動のひとつが「国際歴史教科書対話」という活動だそうです。

 

ドイツ-フランス間、ドイツ-ポーランド間で共通歴史教科書が先行して開発されました。日中韓の三か国でも共同教科書をつくる試みがあり、実際に出来上がりはしました。しかし、広く普及するには至っていません。

 

イスラエル-パレスチナでも教科書対話がおこなわれ、双方の教員によって2009年に共通歴史教材が発行されています。バルフォア宣言が出された1917年から2000年代初頭までの歴史を扱っています。バルフォア宣言は、イギリス政府がパレスチナにユダヤ人国家を建設することを認めた宣言です。

 

バルフォア宣言に関する双方の記述です。以下を参考にしました ☞ イスラエル・パレスチナ共通歴史教材― 複眼的叙述の分析 ―飛田麻也香(広島大学)。

 

イスラエル側では,この土地は「イスラエルの地(the Land of Israel)」、ヘブライ語で「エレツ・イスラエル(Eretz Israel)」,旧約聖書中で神との間に約束された土地を指す単語で表されています。シオニスト活動家ヨセフ・トレンペルドールの最期の言葉「国のために死ぬことは素晴らしい」が紹介されています。

 

一方のパレスチナ側では,「東アラブの分割」と題して「フサイン・マクマホン協定」と「サイクス・ピコ協定」※について説明し、「バルフォア宣言」を「このイギリスの植民地主義と植民地主義シオニスト運動の不道徳な関係性は,パレスチナの人々,そして将来のアラブ諸国全体を犠牲にして実現した」と書いています。

※ イスラエル側では「パルフォア宣言」のみ。

 

イスラエルとパレスチナの争いは不幸なことですが、決して和解できないことはないように思います。双方の若者に歴史の共通認識が進むことは有効なように思います。

 

教科書対話に、中立な第三者として、日本を含むアジアの国の教員や研究者が参加できたらいいなぁと思います。逆に東アジア共通教科書づくりには、イスラエルやパレスチナの教員や研究者が積極的に参画してもらうこともできたらいいですね。