花粉と寄生虫とパンダと

屋外にいると、くしゃみが出るようになりました。花粉が飛び始めています。

 

一昨年に亡くなった「笑うカイチュウ」の藤田紘一郎博士が、花粉症が増えた原因には、人が寄生虫を撲滅しすぎたためと言っていました。ウイルスも細菌も寄生虫も、長い年月に渡って人間と共生しており、お互いに便益を与えて合っていたのです。絶滅の危機に瀕している寄生虫の種が増えているということで、保護する必要性が指摘されています。

 

笑うカイチュウ(1999年)
笑うカイチュウ(1999年)

寄生虫は病気の原因になることも多いでのですが、宿主を助けることも少なからずあるようです。寄生虫は宿主がいなければ生きていけないわけですから、自然の原理として当然のことです。もう少し発展させると、宿主の中には寄生虫がいなければ生きていけないものもあるようです。

 

 

リスの研究では、個体に寄生している数種類の寄生虫が、リスにとって有害な寄生虫の侵入を防いでいることがわかっているそうです。しかも、これらの寄生虫は何世代も前から寄生しており、リスとともに少しづつ進化しているということです。

寄生虫には宿主の免疫系のバランスを保つものや、体内の有害物質を取り除く働きをするものもあるそうです。

 

そうした寄生虫ですが、人を宿主とするものに限らず家畜や家禽、ペットに寄生するものも激減しており絶滅に瀕している種が多いとのこと。何らかの保護をしなければならないという切実な声が研究者などから上がっています。

  

上野動物園のパンダ「シャンシャン」と南紀白浜アドベンチャーワールドの「エイメイ」「オウヒン」「トウヒン」が中国に返還されます。恐らく、日本の動物園で長らく過ごしていた4頭のパンダに寄生している寄生虫は少ないと思います。もちろん、独特な種が寄生している可能性もあります。

 

大型の動物では、生活環境が大きく変わったときに、原因がわからず体調を崩すことがあります。もしかしたら、隠れた原因に寄生虫が関わっているかもしれません。

藤田博士は、自らの腸内で15年間6代にわたり条虫(サナダムシ)を飼育していたそうです。

☞ Wikipedia 藤田紘一郎